「悲しみの三重奏曲」

ラフマニノフの
ピアノ協奏曲の
虜になって
毎日何度も聴いていた、
そんな時期があった。

哀愁を帯びた旋律と
壮大なスケール、
圧倒的な迫力で
魂が揺すぶられ、
寝ることさえできなかった。

しかしいつ頃からだろう、
静かで落ち着いた
室内楽やソナタなどを聴き。
ラフマニノフを
聴くことが少なくなった。

ところが先日のラジオで
ラフマニノフの
ピアノ三重奏曲を聴いた。
「悲しみの三重奏曲」に
心を打たれてしまった。

第1番はラフマニノフが
学生の時に作ったもの。
第2番はその2年後に
チャイコフスキーの
訃報を聞いて作ったという。

第1番の始まり、
「慟哭のレント」で痺れ、
チェロとヴァイオリンが
心の内の悲しみを醸し、
「葬送行進曲」で終わる。

第2番は第1番と
趣こそが違うが、
激しく切なく悲しい。
超絶技巧のピアノパートが
聴かせどころだ。

この「悲しみの三重奏曲」は
チャイコフスキーの
「偉大な芸術家の思い出」と
似ていると言われるが、
遜色のない素晴らしい曲だ。
ラフマニノフ自らの
ピアノ演奏で聴いてみたかった。