純白の綿毛の小犬

ショウゾウカフェの
玄関前の椅子に
白い犬を抱えた女性が
腰をかけていて、
ボーイフレンドが
写真を撮っていた。

「トイプーですか?」
思わず声をかけると
「ビションフリーゼです」と
ニコニコ笑っていう。
「可愛いですね」
「とっても人なつっこくて」

ビションフリーゼというと
ふわふわの純白の綿毛で
綿菓子のようなまん丸カット。
でもこの子は短いカット。
それでトイプーと思ってしまった。
ぼくに笑いかけてくる。

「名前は?」「プーくん」
「いくつ?」「わからないんです」
「えっ?」「保護犬なんです」
「そうか。でもよかったね。
こんないい人にもらわれて」
二人はとても嬉しそうだ。

プーくんは一歩も歩かず、
抱かれたままクルマに乗った。
窓から白い綿毛の顔を出す。
とても嬉しそうに笑っている。
もちろん二人の飼い主も。
「さようなら」「バイバーイ」

それだけで今日がいい日になった。
幸せな気持ちで満たされた。