川畠成道、巨星になる

魂の演奏だった。
川畠成道氏のヴァイオリン、
無伴奏曲の数々。

バッハのソナタから始まり、
イザイ、パガニーニ、エルンスト、
最後にバッハのパルティータ。

重厚な音、高度な技巧、
繊細且つ大胆、強靱且つ柔軟、
圧倒的な迫力に心が震える。

デビューから四半世紀、
目の不自由な天才青年が
ヴァイオリニストの巨星になった。

ホールに響き渡る
静寂の中の音の吹き上がり。
貴く気高い孤高の演奏だった。