拍手しかできない

僕は拍手しかできない。

お医者さんや看護師さんが

死を覚悟しながら

病人を診ているときに

拍手しかできないのだ。


友人の医師が言った。

自分自身も自分の家族も

絶対に守れるとは言いきれない。

3ヶ月後に無事でいられたら。

生きていられたらと。


まるでカミュが書いた小説、

『ペスト』のようだ。

自分のことを差し置いて

病人を救おうとする医師

リウーのように。


人間は大自然の前には無力だ。

人々は不条理に恐怖を覚え、

不条理に恐怖し震え上がる。

でも、立ち向かう人がいる。

勇気ある医療従事者たち。


僕は拍手しかできない。

真っ直ぐにきちんと立って

真っ直ぐ正面を向いて

手を叩いて祈ることしかできない。

「ありがとう。無事でいてください」