「地下鉄のザジ」

戦争が終わった
1950年前後のパリ。
母親に連れられて
田舎からパリに出てきた
悪戯好きな少女ザジ。

叔父さん夫婦の家にいて、
地下鉄に乗りたかったが
あいにくストライキ中。
街をさまよい歩くことになり、
正体不明の男に声を掛けられる。

可愛いザジは男の追跡を
悪ふざけでかわして大笑い。
相手構わず発情する女にも遭遇、
ザジは逃げ回り周囲は大騒ぎ。
ドタバタのコメディが楽しい。

レーモン・クノーの人気小説を
フランス映画界の巨匠、
ルイ・マルが映画化して大ヒット。
意味など問わないシュルレアリズム、
まさにヌーヴェルヴァーグシネマ。

ザジを演じたのは
アトリーヌ・ドモンジョ。
いきなりスターとなり、
ジャン・リュック・ゴダールの
「女は女である」にも主演した。

ザジの決め台詞は「ケツ喰らえ」。
ドイツに占領されていた
フランス国民のうっぷん晴らしが
この台詞に込められていたから、
観た人は大喜びで笑い飛ばした。
大人たちの大暴走、大乱闘の末に
ザジが発した呟きがうんといい。
「歳をとったわ」