フレンチオープンテニス

美しい5月のパリで

市民が楽しみにしているのが

テニスのフレンチオープン。

パリ郊外の華やかな会場、

ローランドギャロスで行われる。


40年近く前に僕はそこの

赤土のコートを見つめていた。

男子決勝は黒人パリジャンの

ヤニック・ノアが登場した。

市民は熱狂の渦に包まれた。


ヤニックは筋肉質の長身、

屈託のない笑顔が魅力的だ。

ドレッドヘアを振り乱して

強烈なショットを放つ姿は

まるで黒豹のようだった。


ショットで相手を追い詰め

苦し紛れに上げてくるロブを

スマッシュで叩きつける。

そのたびに大歓声が上がる。

僕も彼のプレーに酔いしれた。


5月なのに太陽が照りつけ

真夏のような暑さだった。

赤土のコートで躍動する

ヤニック・ノアの日だった。

彼は笑顔とともに優勝した。


今も思い出すあの日の興奮。

ヤニック・ノアの笑顔。

あれから40年近く経った今年、

赤土のローランギャロスには

大阪なおみが似合うに違いない。