スプリンクラーと少女

僕たちの高校ラグビー部は

10年ほど前に部員が一人も

いなくなってしまって

あえなく消滅してしまった。


何とか復活再生させようと

OBが立ち上がって毎週末

近くの中学の校庭を借りて

有志たちで練習会を始めた。


何十年も楕円球に触っていない

シニアOBも混じってよろよろと

タッチラグビーをやり出した。

みんな笑顔でとても楽しかった。


夏の炎天下の中でも行った。

後輩のK君が二人の子ども

おとなしい兄と元気溌剌な妹

を連れてやってきた。


妹は初めてのラグビー体験、

小さな体で楕円球を抱えて

校庭を走り回って大人を翻弄、

トライまで奪う大活躍だった。


ひと休みで水を飲んでいたとき、

中学の用務員さんがやってきて

スプリンクラーから水を出した。

校庭のあちこちから噴水が上がる。


噴水は霧状となって校庭を舞い、

その中にK君の妹が飛び入り

水を浴びて大きな声で笑っている。

その笑顔と笑い声の何と可愛いこと。


暑い夏、どこまでも青い空。

スプリンクラーの噴水と少女。

その上に、目を見張るような

七色の虹がかかったのだ!