絵の具は混ぜない

チューブ入り絵の具が
発明されたのは1841年。
アトリエに籠もっていた
画家たちが一斉に表に出た。

イーゼルを担いで戸外に出て
自然の景観を写生した。
緑の山や青い空や蒼い海、
キャンバスに色が踊った。

自然の息吹を感じながら
絵を描くのは気分がいい。
モネとルノアールは一緒に
楽しく写生をしたものだ。

モネは花や水の輝きに惹かれた。
ルノアールは人が好きだった。
二人は描く主題こそ違え、
描きたいのは光彩だった。

葉は緑、水は青いだけでなく
人の肌は肌色だけでない。
眼に見えた色彩を光と共に
感じたまま自由に描いた。

絵の具は混ぜると暗くなる。
いろいろな色彩を描くのに
明るい輝きを与えたい。
色は混ぜずに隣に置くこと。

少し離れて絵を見れば
色が混ざり合って違う色になる。
モネやルノアールはそうやって、
輝く色彩の絵を描いていった。

僕も絵の具を置くとしよう。
混ぜずにポンポンと置くのだ。
いきいきとした顔や肌の輝き、
生命に溢れた花や木々の葉を
キャンバス上に描き出すのだ。