自分の声

僕は自分の声が嫌いです。

合唱のパートがテノールなので高めの声なのですが、

録音して聴いてみると、とても軽薄な響きです。

何か教養のある話を友人にしたとしても

きっとするりと流されてしまっているに違いないと

自己嫌悪に陥ってしまうのです。


高校時代、夜更かしをした翌朝に

クラスメートの女の子に電話することがあり、

ひと言話したあと、「今日の声、低くていいわ」と

言われたことが今も思い出されます。

それからことあるごとに、低く話そうとしたり、

低い声になるようにしたものです。


でも、結局地声は変わりません。

合唱では自分の頭に響く声を出すようにと

指導されますが、気をつけていないと

すぐに口先から発する声になってしまいます。

「口を縦にして口の中を丸く開けて、

平らな口にならないように」と注意されます。


そうすると、僕でも響くいい声になった気がします。

パヴァロッティを気取って、「オ、オ、ソーレ、ミイヨ」と

大きな声で歌ってみたりします。

ちょっと恥ずかしいけれど、ひとりのときは楽しく歌えます(笑)。

話すときもそんな声でできたらいいなと思います。

でも、お酒を飲んだらすぐに忘れて、

きっとまたすぐに軽薄な声になっていることでしょう。

あーあ、やだやだ。