カレーライスとフォーク

子供の頃からカレーライスは
スプーンで食べてきた。
社会人になって仕事で
新宿のホテルでランチしたとき、
一番安いカレーライスを注文。
フォークが添えられていたので、
スプーンと間違えたのだと思った。

「スプーンをください」
ボーイに言うと怪訝な顔をされた。
「私どもレストランではフォークで
食べていただいております」
ええっとびっくりした。
カレーをフォークで食べるのかと。
食べるのがいつもより難しかった。

イギリスではカレーライスは
ナイフ&フォークで食べると知った。
ナイフですくいフォークの背に
カレーライスを乗せて食べるのだ。
スプーンはスープの時だけに使う。
英国留学した白洲次郎は日本でも
ナイフ&フォークで食べたという。

しかし威張り腐ったそのホテルでは
ナイフはなくフォークだけだった。
「ナイフもください」と言って、
カレーライスをナイフですくい、
フォークの背にしっかり乗せて
食べてみせればよかったと、
いまだに悔しく残念に思っている。

とはいえ、ボクはそれ以降も
カレーライスはスプーンで食べている。
ちなみに金沢発祥のカレーチェーン、
「ゴーゴーカレー」ではなんと、
フォークで食べさせるようなのだ。
英国流のマナーかと思いきや、
カツカレーが食べやすいからだという。