逆八蝶

那須の山の家から
散歩に出た途端に
小澤さんの車止めに
可愛く綺麗な蝶がいた。

小さな蝶で翅を開き、
黒い翅に白青の筋が
両翅で逆さの八の字を
美しく描いている。

なんという蝶だろう。
その名はサカハチチョウ。
八の字が逆さで逆八、
その蝶と言うことだ。

この美しさは夏のもので、
春は橙を基調とした模様。
翅を開くと蛾のようで、
夏のような美しさはない。

低山地の渓流沿いで
見られる蝶とのこと。
小澤さんの家には
小さな川が流れている。

その川で生まれたのか。
美しい逆八蝶に目を奪われ、
しばし足が止まった。
夏が来れば思い出すだろう。