LADY IN SATIN

レディ・デイこと
ビリー・ホリデイが
麻薬に溺れながら
死ぬ前に作ったアルバム
“LADY IN SATIN”

最初の曲から胸を刺す。
“I’M A FOOL TO WANT YOU”
歌い出しから哀しく切ない
『あなたが欲しいなんて馬鹿な私』
しわがれ声が悲痛に沈む

オーケストラが響き、
ビリーが静かに歌い出す
“YOU DON’T KNOW
WHAT LOVE IS”
『恋を知らないあなた』

歌詞のひとつひとつが
語り出すように区切られる
「あなたには分からないわね
愛の意味なんか」
トランペットが哀愁を奏でる

最後の曲は『恋路の果て』
“THE END OF A LOVE AFFAIR”
可愛い初老の女性の
いじらしくて愛らしい
恋の行方を歌うレディ

好きになった愛した人を
いつまでも忘れられない女心
「彼を忘れることなんかできないわ
でも他にどうすればいいの
恋の終わりのときに」

この歌声、この歌詞
この曲を聴いてしまったら
もう何もかもが幻と化す
“LADY IN SATIN”
すべてがサテンに包まれてしまう


※歌詞の訳は“LADY IN SATIN”のレコードに入っている大和明さんのもの。那須の珈琲屋、フットプリンツのオーナー、大和武さんの父上。