ヘクソカズラではかわいそう

咲き終わった
緑の葉のヤマツツジに
小さな小さな花が
たくさん絡みついている。

花は白く中心は紅い。
樹木に蔓となって巻き付き、
夏の山野に咲く。
夏は花が少ないだけに嬉しい。

花の名前を調べると
ヘクソカズラという。
何とヘクソは屁糞である。
可愛い花に何とも似合わない。

花を潰すと悪臭がして
それが屁の匂いの屁臭から
屁糞の名に変わったという。
万葉集では屎葛*と詠んだ歌がある。

地方では可愛い花を愛で
早乙女花*、早乙女葛の名で、
田植えをする娘の被る
笠に似ていることにちなんだ。

やいと花の別名もあり、
やいとはお灸のことで、
花を伏せるとお灸に似て、
花の中が紅い火に見えたのだ。

ヘクソカズラの名では
あまりにかわいそうだ。
可愛い花なのだから
サオトメカズラと呼びたい。

*屎葛はクソカズラ、早乙女花はサオトメバナと読みます