バクに夢の願いを託す

人の夢を食べて生きているなんて

獏という想像上の幻獣は

なんと浪漫に溢れる生き物だろう。

悪い夢を見たときは、獏に向かって

「この夢を食べてください」と唱えれば

二度と同じ夢を見ないで済むという。

ワンダフルアニマルである。


中国の古い文献に出てくるから

獏は幻の獣みたいに言われる。

白居易によれば、鼻は象、目は犀、

尾は牛、脚は虎に似ているとされる。

確かに想像を駆使して描かれた絵があり、

江戸時代には絵札が縁起物となり

獏の形をした獏枕も造られた。


とはいえ南北アメリカや

東南アジアには本物のバクがいる。

茶褐色で長い毛のヤマバクや

黒白のマレーバクが獏の元祖だ。

見れば確かに象の鼻を短くし、

目は犀に、姿は牛にも似てる。

マレーバクは結構可愛い。


というわけで早速バクの絵を描いた。

この絵によって、良い夢を見させてくれ、

悪い夢は食べてくれると信じている。

「バクちゃん、悪い夢はすべて

食べちゃってくださいね。

良い夢だけをお与えください。

よろしくお願いいたします」