遅れてきた春
合唱の練習を終えた
連休前日の深夜に
クルマを走らせた。
那須の家に到着、
妻とビールを飲み
寝床に潜った。
翌朝目が覚めると
妻が小さく叫んだ。
「サクラが咲いてるよ」
太い幹の上のほう、
小さな緑の葉の間に
薄桃色の花が見える。
モミジやカエデ、
クヌギヤブナやナラは
ようやく葉が出たばかり。
那須の高原の木々たちは
桜の花を感じながら
春の装いを整えていく。
ウグイスが方々で鳴き、
シジュウカラが遊び、
お腹の黄色いキビタキ、
コゲラが木を突いている。
小さな野鳥たちは
早くも春を満喫している。
春の訪れは何度でも
嬉しくて楽しくて
気持ちが踊ってくる。
野山のぶらぶら散歩は
見るものすべてが新鮮で
足が軽くなってしまう。
遅れてやってきた春は
遅れた分だけ素晴らしい。