タルトタタン

U女史自家製の
元祖タルトタタンは
キャラメリゼした
香ばしいリンゴのタルト。

三角形にきれいに
カットされてマキシムや
ドゥマゴのような
上品なタタンタルトだ。

何でタルトポムじゃなくて
タルトタタンという名前かというと、
19世紀後半、ロワールにあった
ホテルタタンで誕生したから。

ある日、料理担当のステファニーは
リンゴパイをつくろうとしていた。
リンゴをキャラメリゼしだしたが、
炒めすぎて焦がしてしまったのだ。

「あら大変、どうしましょう!」
ステファニーはとっさに
パイ生地をリンゴに被せて、
そのままオーブンに突っ込んだ。

適度に焼けて出してみて、
フライパンをひっくり返すと
「あら、不思議なこと、
きれいなタルトができてる!」

このタルトがマキシムの
名物デザートになったから
世界中に広まったというわけ。
失敗高じて大成功ってわけなのだ。

それ故に上品なものばかりではない。
ステファニーの失敗作通りに
4つ割りリンゴの形状のままの
無骨なタルトタタンもある。

いかにもフライパンで作ったという
ごついタルトタタンなのだが、
これなら僕にもつくれそうだ。
そう、失敗作で良いのだから!