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本条寺京太郎 即興詩集 2020シーズン

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毎日1つ即興詩を書いている本条寺京太郎氏の2020年4月14日〜2021年4月13日までの365日すべての詩を集めた2020年シーズン詩集。本条寺氏が日々感じた心模様や音楽、絵画… もっと読む
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2020年7月の記事一覧

「文句いいの口」

横から見ると思うのですが ちいさな口がすぼまって ちょっと突き出て 文句を言いたそうなの…

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耳たぶの柔らかさ

「ピザの生地ってね、 耳たぶの柔らかさがいいの」 そう言うと、彼女は 「それってどれくら…

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1日を2回にする生活

主治医のN先生は 1日を2回に分けて 充実した毎日を送り、 楽しく暮らしている 朝4時に…

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「遊行柳」

広々とした田んぼの彼方に 高く大きな柳の木が飄々と 枝葉を風に靡かせ佇んでいる その昔、…

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花屋の老人のピアノと歌

英国のセントパンクラス駅。 黒の厚いコートを着た91歳の老人が 駅に置かれているピアノの前…

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辞書の紙巻き煙草

煙草を覚えたのは 高校1年のときだった。 屋上で弁当を食べ、 「ショッポ」を吸った。 ち…

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ほおずき市

浅草寺にほおずき市が立つ。 毎年七月十日に観音様に参拝。 そうすれば四万六千日、 一二六年分のご利益が得られる。 一生分の功徳となる縁日だ。 境内は百もの店が並び、 鉢植えや籠入りなどの 愛らしい真っ赤なほおずき。 どの店も押し合いへし合い、 どれを買おうか大賑わいだ。 ほおずきを水で丸呑みすれば、 大人は持病の癪が切れ、 子供はお腹の虫が去るという。 解熱、咳止め、利尿効果。 酸漿という生薬になるのだ。 ほおずきは鬼灯と書く。 お盆の時にはご

ありがとう、モリコーネさん

あのイタリア映画を観て 何度泣いたことだろう。 「ニューシネマパラダイス」。 観るたびに…

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スコッチは潮風の薫り

潮風の薫りがするスコッチ 「オールドプルトニー」。 ボトルはこのスコッチを造る 銅製ポッ…

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ラの音は赤ん坊の泣き声

オーケストラは演奏前、 当然だけど全員が音を合わせる。 最初にオーボエがラの音を吹き、 …

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透き通るような鎖骨

「晴子の鎖骨は透き通るようだ」 高村薫は『晴子情歌』の中で 主人公、晴子の鎖骨を描写して…

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ロイヤルミルクティの嘘

キッチンの棚の奥に 古い紅茶の缶があった。 黒く短い円筒形の缶。 マリアージュフレールの…

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真のスーパースター

「いいですか?いいですか? 本当にもういいですか?」 一人ひとりの目を見ながら あの人は…

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森の家の葉巻

ぼくは此の森の家で 葉巻を吸うのが楽しみだった。 葉巻用カッターで吸い口を切り、 柄の長いマッチで火をつける。 ライターではオイルやガスの 匂いが葉巻に移るからだ。 葉巻は煙草の葉っぱを そのまま巻いてあるため、 紙巻きのシガレットなどとは 比べものにならないほど 香りも味も抜群だ。 甘い葉ならよだれが出てしまう。 秋の日に焚き火をして 火を見ながら葉巻を吸う。 冬の寒い朝にベランダに出て コーヒーを飲みながら吸う。 空気が澄んで気持ち良いとき