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就学前教育・保育の今後の方向性について教育長に聞いてみた #台東区議会 #代表質問


教育長に聞いてみました!

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これからの就学前教育・保育の今後の方向性について
伺います。


「保育園に入れないから、会社に復帰できないかもしれません」
会社で人事担当だったときに、はじめて育休を取得した女性社員からの電話でした。

台東区では10年間で約2000人分の保育園の定員が増えました。倍近くです。それでも残念ながら、待機児童ゼロには至っていません。その反面、顕在化してきたのが幼稚園の人数の減少です。現代の保護者のニーズに合っていないからなのか?それとも、幼稚園の教育が求められていないのか?その辺りも含めて考える時期に来ていると思います。これからの就学前教育・保育の今後の方向性について教育長にうかがいます。


まずは保育園。待機児童ゼロも視野に入ってきました。でも待機児童ゼロとはどんな状況でしょうか?
必要があればいつでも誰でも好きな時に保育園に入れる状態を指すのならば、常に保育園には空きがあるという状態になります。そうすると経営状況は特に私立園で厳しくなります。
台東区では、今まで待機児童が多かった0~2歳児においても、エリアによっては4月時点で定員に達しない園もでだしています。他の自治体では小規模保育や認証保育所を閉園するという動きも出てきています。以前は保育園に入りたい人が多く、待機児童が多いため、とにかく保育園をつくるという段階でした。いまは、足りてないエリアや足りていない年齢の園をつくるという段階にうつっています。今後は、連携園制度の構築、空き状態への対応などのこれからの保育園整備に向けての課題を検討する時期に来ているのではないでしょうか?


【保育の質】
保育の質については台東区ではいち早く就学前教育の必要性を認識し、保育園も含めて教育委員会に入れ、ちいさな芽という就学前教育共通カリキュラムを作っていることは高く評価をします。しかし、特に私立の認可保育園までそれが十分に行き渡っている状態とは言えませんし、0~2歳の保育の質についてはガイドライン等の設定はありません。

「離乳食が1日おきにうどんと野菜などを混ぜたもの、ご飯に野菜などを混ぜたものしかでない」
「 兄弟で預けている時に片方が病気の場合、もう片方も連れて帰らなくてはいけない」
「 一才児クラスでも厳しい園だからなのか、給食を全部食べられなかった場合にはご飯に丼のようにすべてかけられ、昼寝の時間なしで食べさせられているんです」

これは全て10年以内に聞いた保育園の事例です。もちろんほとんどの園や保育士の先生方はこのコロナ禍にもかかわらず、熱心にあたたかい保育をしていただいていると思います。それでも保育園をまだ自由に選べない状況で、 どこの園でも一定レベルの保育を受けられるという状況にはまだなっていません。保育の質ガイドラインの制定なども視野に入れ、早急にすべての園が、せめてまずは認可園が、一定レベルの保育を受けられる状態にすることを強く望みます。

幼稚園についても質と量どちらにも課題があります。
保育園に通わせる保護者の方からは、 「実は幼稚園も気になっている」という声を聞きます。しかし私立公立の幼稚園、どちらともに、預かり保育や保護者の関与の度合いから、祖父母などの身近な手伝ってくれる存在がない限りフルタイムで働きながら、幼稚園に通うという選択肢は取れないと聞きます。
ニーズはあるけれども現実的に難しい…幼稚園はそんな存在になっています。

そんな中での公立幼稚園の3歳児クラスの応募が大幅に減少していること。これはこのニーズに対応しきれてないからではないでしょうか。
公立幼稚園は2つの意味で、必要な存在だと考えています。一つはまだまだ受け入れが進みづらい障害児などを受け入れするための存在であること。2つめは、多国籍化が進んでいるこの台東区において、日本語を母語としない子どもであっても受け入れが可能な、こちらもセーフティネットとしてです。

しかし、応募状況が一定の人数に達せず。あまりにも少人数でのクラス編成になってしまった場合、少人数の就学前教育で、本来の小学校への入学前の集団での教育が十分にできるのか?という疑問もあります。なにより、子どもたちにとって適正な教育が受けられるのか?ということは第一に考えなければなりません。さらに台東区の財政状況も課題です。コロナの影響もあり、財政状況が悪化すれば、定員を大幅に割っている状態はそのままにはしておけなくなります。保育園に通わせる保護者からは、小学校と併設されており連携もある、園庭もある幼稚園の環境が空いているなら保育園かこども園にしてほしいとの声もいただいています。

そして触れておきたいのは就学前教育保育の重要性です。 有名な、ペリー就学前プロジェクトのヘックマン教授は、就学前教育により、非認知能力(非認知能力とは「目標や意欲、興味・関心をもち、粘り強く、仲間と協調して取り組む力や姿勢を中心」とする力)を高めることにより長期的効果が現れたと分析、そして、非認知能力の向上は、大人になってからの安定した生活に貢献すると主張しています。
いままであまり区で議論がされてきていませんが、就学前教育を受けていない子どもの存在についても、様々な観点から注目し、行政としても関与していくべきであると考えます。


保育の定員に余裕ができ始めているからこそ、虐待予防の観点、保護者のサポートという部分に力を入れて行かなくてはなりません。虐待一歩手前、黄色信号の保護者にどのように寄り添いサポートをしていけるのかという部分は非常に重要になっていきます。
定員に行かない私立園が出てきた時の、公立園の役割の変化も検討する時期に来ているのではないでしょうか。公立私立含めた幼稚園こども園保育園や、認可外保育園のあり方 、必要な数の設定の仕方など改めて見直す必要があると思います。


これから必要なのは、台東区の就学前教育保育について、幼稚園子ども園保育園のそれぞれの良さをいかした
質と量を担保できるようあらためて検討していくことではないしょうか?
教育長のお考えを伺います。

以上でつなぐプロジェクトの代表質問を終わります。



教育長からはなんて返ってきた?


【教育長答弁】

 これからの就学前教育・保育の今後の方向性について

本目議員の就学前教育・保育の今後の方向性についてのご質問にお答えをさせていただきます。

本区における就学前教育・保育につきましては、「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」に則して質の確保を図っております。

また、区独自の幼児教育共通カリキュラム「ちいさな芽」を策定し、幼稚園、保育園及びこども園への周知や、その趣旨を啓発することにより、共通の考えに立った教育・保育を推進しております。

さらに、「子ども・子育て支援事業計画」において、人口推計や、教育・保育の需要等を基に量の見込みを算出し、待機児童解消に向け施設整備を進めているところでございます。

しかしながら、「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」等の改定や、幼児教育・保育の無償化、幼稚園の園児数減少など、様々な変化や課題に的確に対応していく必要があることから、教育委員会において、就学前教育・保育の今後の方向性について検討を始めたところでございます。

教育委員会といたしましては、引き続き、幼稚園、保育園及びこども園のそれぞれの役割や長所を生かし、様々なニーズに対応できるよう考えてまいります。




ホンメの眼(本目の視点)

昨年11月~12月に区立幼稚園の定員の課題が浮かび上がってきて、短期間で検討をはじめているところは評価したい。


区立幼稚園も区立保育園も重要な役割があると思っているので、ぜひ存続できるように区としては考えてほしいと思っています。



台東区議会議員 本目さよ(ほんめさよ)


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