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起業したての個人事業主、赤字でも青色申告することをおすすめする理由

起業したての個人事業主は
「今は赤字だから確定申告はしていない」
という方が多いです。

個人事業主は赤字の場合、
確定申告しなくても大丈夫というのは
間違いありません。
※ 法人は赤字であっても申告が必要です。

しかし起業したてで赤字であっても
確定申告をしたほうがメリットがあります。

確定申告には青色申告と白色申告がありますが、
メリットがあるのは青色申告です。

起業1年目から赤字であっても
青色申告することを推す理由を
3つお伝えします。


理由1 赤字を翌年以降3年間繰り越せる

起業1年目は初期投資として経費がかさむ一方、
売上が安定せず、大きく赤字になることが多いです。

しかし2年目、3年目・・・と時が立つにつれ
だんだん利益が出てくるようになるでしょう。

赤字が出た年分の青色申告をすると
翌年から3年間、その赤字を繰り越すことができます。

※白色申告では、災害で被害を受けた場合の赤字しか
繰り越すことができません。


たとえば、起業から4年間の赤字・黒字の状況が
次のとおりだとします。

所得税と住民税で税率15%
1年目:100万円の赤字
2年目:30万円の黒字
3年目:50万円の黒字
4年目:100万円の黒字

1年目に赤字だからといって青色申告しなかった場合、
4年間の税金はトータル27万円。

1年目:税金0円
2年目:税金 黒字30万円×15%=45,000円
3年目:税金 黒字50万円×15%=75,000円
4年目:税金 黒字100万円×15%=15万円
 
★ 4年間の税金:0円+45,000円+75,000円+15万円=27万円

一方、1年目から青色申告した場合、
1年目の赤字を4年目まで繰り越せるので
4年間の税金のトータルは12万円。

1年目:税金0円 翌年へ繰り越す赤字100万円
 
2年目:黒字30万円-30万円(赤字の繰越)=0円 
∴税金0円 翌年へ繰り越す赤字100万円-30万円=70万円
 
3年目:黒字50万円-50万円(赤字の繰越)=0円
∴税金0円 翌年へ繰り越す赤字70万円-50万円=20万円
 
4年目:黒字100万円-20万円(赤字の繰越)=黒字80万円
∴税金 黒字80万円×15%=12万円
 
★ 4年間の税金:0円+0円+0円+12万円=12万円

めんどうでも1年目に赤字の青色申告をしておけば、
後々の税金を減らすことができます。

※上記の例は、話をわかりやすくするため、青色申告特別控除、社会保険料控除や配偶者控除などの所得控除といったことは一切考慮しておりません。


理由2 赤字を他の所得と相殺できる

事業が赤字であっても、他の所得がある場合、
確定申告をすれば
事業の赤字と他の所得と相殺することができます(損益通算)。

たとえば起業した年の途中までは会社員だった場合、
確定申告をして事業所得の赤字と給与所得を相殺すれば、
給与から引かれた源泉所得税の還付を受けることができます。

※損益通算は、白色申告でもできます。


理由3 売上から源泉所得税が引かれていれば、還付を受けられる

ライター、デザイン、作家、漫画家、イラストレーターなどの仕事は、
売上から源泉所得税が引かれます。

赤字であっても確定申告をすれば、
引かれた源泉所得税が還付されます。

※源泉所得税の還付は、白色申告でも受けられます。


起業1年目から青色申告にできる?

起業1年目から青色申告をするためには、
「所得税の青色申告承認申請書」という書類を
原則として起業して2か月以内に税務署に提出します。

「青色申告ってなんだか帳簿づけが難しそう」
と思われるかもしれませんが、
白色申告でも帳簿づけが必要なので
そんなに違いはありません。

白色申告にメリットはありません。
青色申告一択です。


時間があるうちに経理・確定申告に慣れておく

個人事業主は大多数が自分で経理→確定申告をしています。

仕事が順調になり黒字になってから
はじめて確定申告をするとなると
本業が忙しくて時間がない、やることがわからない、
取引量も多い、となり
ものすごく大変になるでしょう。

中には確定申告をする必要があるのに
何年も無申告、ということもあります。

いずれやらなきゃならない経理→確定申告であれば
まだ時間があり、取引量もそれほどない
起業1年目からやって慣れておくことがおすすめです。


★編集後記
マンガ『推しの子』を一気読みしました。
アイドルの奮闘記だと思っていましたが、
転生・サスペンス要素・芸能界の裏側などが絶妙に絡み合い
読むのが止まらなかったです。


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