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2023.8.12

美容室で髪を切りさっぱりしたあと、違国日記のコラボカフェを目当てに西武池袋のe.a.granへ。
原画の飾られている壁際の席は埋まっていた。料理が来るのを待つ間、カウンターから遠目に凝視。
コラボメニューは「超超超ひとりになりたいコーヒー」を注文。レシートには「超ひとりコーヒー」と印字されていた。そんな閉じ籠ったネーミングとは相反して、すっきりとした味と香りに目を見開いてしまうコーヒーだった。美味しかった。

ミックスサンドとコーヒーを平らげ、しばらく読書に耽る。目が疲れてきたところで席を立ち、そのまま三省堂書店へ。違国日記11巻を手に取り、漫画コーナーをぶらりと回った。「推し」がタイトルに入った作品がよく目に付いた。
著者の直筆色紙が壁面や平台に飾ってある。都内の大型書店では当たり前の光景だ。東京で暮らしていると、著者と読者がとても近く感じる。サイン本も手に入りやすい。地方で育った私には何だか不思議に感じる距離感だ。
長期連載作品の既刊がみっちり並ぶ棚には、誰かが数巻まとめ買いをしたらしい形跡がところどころにあった。
棚の上から下へと目線を泳がせる。タイトルが目に止まり、この漫画を棚から抜いた。

Amazonでちょくちょくおすすめされる作品だ。けどちゃんとチェックしてはいなかった。タイトルからしてカメラ関係の話なのかな…と裏表紙を見ると、カメラ・オブスクラの図説と語釈が描かれていた。そして帯の「フリーカメラマン」「ドイツ」「視野」の馴染み深いワードに「あっ、これは私(写真学校卒)向けだわ」と即理解。さらに下巻のほうの帯には「人物撮影を苦手とする彼女」とあり「俺!俺!!」と湘南乃風になった。お買い上げを決める。

雑誌コーナーも周ってみる。カメラ雑誌の棚がスッカスカになっていた。近年で休刊が相次いだのは知っていたけどちょっと物寂しい。
スポーツ書コーナーにも初めて踏み入ってみた。ダントツで野球関連本が棚を占めてる。背表紙がゴシック体と明朝体ばかりでなんだか圧を感じる。

レジに並ぶ。外国人観光客らしき男女が、付録付き雑誌にしげしげと見入っていた。女性は雑誌を手に目を輝かせ、子どもみたいにはしゃいだ声で男性に話しかけていた。たしかに、こんなにも数もバラエティーも豊富な付録付き雑誌が並ぶ光景は珍しいのかも?
セルフレジで会計を済ませ、さぁ次の買い物へと向かおうとしたけど、レーエンデ国物語の特設コーナーに吸い寄せられた。暑い季節のうちに絶対買って読もうと決めている。買って帰ったその夜に読み耽りたくて、今はその時じゃないのでまだ買わないとも決めている。

多崎礼さんのことは、一昨年に表紙買いした煌夜祭で知った。ファンタジーなんて久しく読んでないなぁと軽い気持ちで開いたら、ページを捲る手が止まらなかった。週末の夜中、風呂場のドア口に3時間くらい座り込んで夢中で読んだ。


この日は立ち読みして気になった本もいくつか…。


そろそろ行かねばと今度こそ書店を後にし、ルミネへ移動。スポーツサンダルがずっと欲しかった。ショップに行くと、入り口には秋靴がディスプレイされていて、サンダルは店内の隅でセールになっていた。「50%OFF」の文字に季節の移ろいを告げられた感。そういえば先週にLOFTに行ったときも、来年の手帳のコーナーができていた。私には夏はまだまだこれからだというのに、夏の終わりどころか年の瀬の予告編がもう始まってるみたいで、いやだ急かすな終わらないでくれ…!と抗いたい気持ちでサンダルを買った。

家に帰ると、さっそくショッパーからサンダルを取り出した。靴下を脱ぎ、裸足をサンダルに通す。
足の指の爪をむしる癖が長年抜けなかった。最後に足に爪切りを使ったのがいつだったか思い出せない。そんなだから爪はいつもボロボロで、さすがにサンダルを履く気になれなかった。絶対サンダルが合うだろうなぁ、という服があるのに、パンプスやスニーカーで妥協するのがもどかしかった。足先を綺麗に整え、ネイルで彩ってサンダルを履く人たちが羨ましかった。すごいなぁと思いながら、道ゆく人の足元に目を遣っていた。
でもある時期からむしるのをやっと止められた。爪が伸び、ヤスリで形を整えることができた。いよいよ念願の、サンダルのある夏がきた。待たせたね、私の足。

日が沈んで熱の抜けた空気のなかをゆるゆる歩いた。小さな農園を通りかかると、りんごの木が実をつけていた。地面には小さな実がぽつぽつと落ちていた。細い路地の抜け道には葉が高く生い茂っていて、そこにオレンジの秋桜が細々と咲いていた。夏はまだ続く。