生真面目な子には、計算で親の助言が不可欠

計算を定着させるための工夫

小学校低学年で、繰り上がりや繰り下がりといった新しい「計算方法」を教える際は、学校の先生はいろいろな工夫をします。どの順番で、どんな操作をすればいいかを、目に見える形で教えることも、その一つです。その「方法」が定着するまでは、一つずつ丁寧に操作することが大切でしょう。

でも、計算に慣れてきたら、当初教えられた通り、すべてを見える形で書かなくても、自分なりに適当に省略した方が速く計算できます。
要領のよい子(ある意味、面倒くさがりの子)は、自分の判断でこの省略をします。生真面目な子は、先生から「慣れてきたら、徐々に省略してもいいよ」という指導がない限り、いつまでも最初に教えられた通りの計算を続けます。

子の習熟度をチェックし、親が助言を

新しいことを教えるのはクラス全員共通だから問題ないのですが、慣れるにつれて省略していくというのは、生徒一人一人でタイミングが違うので、先生もなかなか指導しきれないと思います。
このあたりは、親御さんが、自分の子の習熟度をチェックしながら、助言する必要があります。

繰り下がりのある引き算の場合

繰り下がりのある引き算を例に説明します。
初めて教える時、上の位から借りてくる「10」をしっかり書かせる先生が少なくないようです。
もっとも丁寧なのは写真の①ように、借りてきた10を丸で囲わせ、その10と6を線で結ばせ、その差である4もを書かせた上で、この4と3の和である7を一の位に書かせます。

<右に行くほど、簡略になる>

写真の②はその省略形で、上の位から借りてきた10から引いた差の4だけを書かせるパターンです。
初めて繰り下がりを習う時は、こうした作業の「見える化」は大事なことでしょう。上の数字から下の数字が引けない場合は、上の位から借りてくるということが完全に身に付くまでは、10を書かせるのもいいと思います。

しかし、「引けない場合は上の位から借りてくる」ことが定着したら、以下のような省略を指導する必要があると思います。
まず、10を書かせるのはやめて、差を書くだけにとどめる(写真の②)、そして、さらに慣れてきたら、差も頭に記憶させて、答えだけ書かせるようにします(写真の③)。

繰り下がりがあったことを忘れないように、斜線は引いていいでしょうが、繰り下がりは1小さくなるだけですので、数字をわざわざ書く必要はないでしょう。

頭が柔軟で、要領の良い生徒は、自分の判断で、面倒な途中経緯は省略して、写真の③のような計算をするようになります。

しかし、生真面目な生徒は、誰かに指導されるまでは、最初に習った通りの解き方をつづけてしまいます。私の教室に通っている生徒の中にも、3年生の終わりの時点で何人かが続けていました。

割り算でも無駄な操作をしてしまう

そのままだと、割り算の筆算の中でも写真のように、計算することになります。限られたスペースに、いろいろな数字を書くことになり、時間がかかるだけでなく、数字を見間違える恐れも出てきます。

<数字がごちゃごちゃで間違いの元>

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