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#1.「愛聴名盤」〜あなたの名盤聴かせてください〜【椎名林檎】編

レコード、カセットテープ、CDなど時代によって音楽を届ける媒体は変わって来ました。現在は配信世代真っ只中といった時代でしょうか。

そんな中僕はNHKさんの方で不定期?で放送されていた名盤ドキュメントという番組が僕は大好きでした。
アルバムの制作の裏話や他のアーティスト分析など、すぐさまこの番組の虜になりまして…笑
何か自分から発信できる機会があれば自分の名盤を語りたい!と同時にもっと色んな名盤を知りたい!
ということで今後は募集もしていきたいと思ってる所存でごさいます。

とりわけ最近では滅相アルバムで通しでツルッと聴くという文化は減ってきましたねぇ。
そんな現在だからこそ、この企画をやりたいと思います!題して

〜「愛聴名盤」あなたの名盤
聴かせてください〜

#1 椎名林檎 「無罪モラトリアム」

記念すべき初回はこちらの名盤でございます!
20世紀から21世紀に変わる1歩手前
1999年発売された林檎さんのデビューアルバム!
「無罪モラトリアム」Release 1999年2月24日


アルバムを聴く前に…ちょこっと自己分析!
ほとんど曲間がなく(M1〜M3に関しては繋がっている)進んでいくスタイルは後のアルバムワークでも同様。アルバムという、CDという、音楽というものの新たな一面を創始していく存在が放つ記念すべき1枚目想像を遥かに超えセンセーショナルなそしてエポックメイキングな作品になっている。


M01.「正しい街」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

歴史の1歩目は福岡の地から始まります!
ちょっと先にネタバレしちゃえば福岡→歌舞伎町→丸ノ内と続いていきます笑
自分の地域が歌われている歌とかって憧れがあります…そこの地に立てばなんか特別な主人公感沸くし何より観光スポットの1つになりますよね笑

いきなり力強い歌声と歪んだギター。
宣戦布告のように感じます。
育った街を飛び出し、東京で夢を叶える決意みたいなものが曲順に感じます。
トリビュート・アルバムでは同郷のスピッツのボーカル草野さんが歌っておりまして
音楽界の首都福岡!を感じさせます笑
(広島も個人的には多い気がしている笑)

M02.「歌舞伎町の女王」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

ここで生まれの福岡の地を離れ歌舞伎町というディープな街へと物語は進みます笑
曲の原案が自身の体験談であるという意外な取っ掛りを経て作られたこの作品は人生経験が豊富な証拠であります。

僕にクリシェという音楽的知識を初めてもたらしてくれたのがこの曲。イントロからクリシェで始まり1番が終わったと思いきやすぐさま転調し、曲自体も3分足らずで終わり次々と展開していく。流動的な部分を音楽で醸し出し、サウンドの部分でもリリックの部分でも僕にとっては革命的でした。音楽の授業で取り扱って欲しいような…難しくてテストとか大変そうになりそうか笑

M03.「丸ノ内サディスティック」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治


言わずもがな彼女の代表曲の1つ。
その代表曲は意外にもシングルカットされていた訳では無いのです。
よくこの曲をコピーするバンドやカラオケで歌う女の子を見る度に世の女性に与えた椎名林檎の力に惚れ惚れするのと同時に色んな「丸ノ内サディスティック」が形成されているんだなぁと俯瞰的に見てしまう自分もいたりします笑

地名が出てきて、ギターアンプの名前が出てきて、尊敬するアーティストの名前が出てきて。

「丸の内サディスティック」
アルバムタイトルがこれまた「無罪モラトリアム」という漢字+カタカナという言葉の羅列。
系譜は次回作の「勝訴ストリップ」に繋がっていくのです。

M04.「幸福論(悦楽編)」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治 

ここでデビューシングルが来ます。といっても大幅にアレンジは変わっています。それが出来るのが強みだなぁと思う。本人も勿論、周りの大人がよくその案を止めなかったなと…
勝算があってよっぽどの自信が無いと出来ないことだと思います。デビュー曲ってアーティストにとっては初めて産まれた子のように感じるとは思うのだがどういう経緯でここまで大胆にアレンジを加えたのか笑 声に関してもシンセ的で生声とは全く違うもので曲としての色も全く別物のような気さえします。

良い意味で親離れ・子離れのバランスがとれたデビュー作だと思える。気になる方はベストアルバムに収録されていますシングル版も是非!

M05.「茜さす 帰路照らされど…」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治 

そして次曲、ここまで同じ系統の曲は無くバリエーションの豊富さを感じさせる。全く別の人間が歌っているかのような引き出しの多さ、テクニックが垣間見える。話し声のような低音域からサビにかけての振り切りにしてもそうだ。まだ10代の少女がここまで叙情的な雰囲気をもたらせるのか…コードに不思議があるのか?声なのか?一体どんな人生を送ってきたらこんな作品が完成されるのか…脱帽です。

タイトルは古き良き日本語で並べられていて、
いわゆる古典的な雰囲気を漂わせながらも
ラストのサビには全部英語の歌詞を並べて良い意味で裏切ってくれるのも最高。

M06.「シドと白昼夢」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

タイトルのシドとは恐らくセックス・ピストルズのメンバーのシド・ヴィシャスであろう。そして歌詞にも出てくるジャニス・イアン。人物名が出てくる事でどんな系統のものを好んで聴いてたかがその人の人格形成が見られて面白い。特にシドに関してはこの後も出てくるので要チェックが必要なのだ。あくまで真相は明らかにはなっていないが、シドは亡くなる前に恋人を刺殺したと言われている。そういったエピソードを随所に匂わせるものがあってシドに対する本気度が感じ取られる。

また後に「ギブス」などでも登場する嫌ではなく厭なのが林檎流。こういったこだわりは歌詞カードを拝見せねば気が付かないポイントであり、配信世代には是非とも歌詞カードをご覧になって照らし合わせてみて欲しいところです。

M07. 「積木遊び」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

後に東京事変でメンバーにもなるこの作品においても輝きを放つ師匠(亀田誠治)のベースから始まる1曲。亀田さんのプロデュース力、演奏力が無ければこの名盤は成立はしなかったであろう。

デモ段階の英語発音を日本語に聴こえさせる、その逆しかりテクニックなどは何処か桑田佳祐が日本の音楽史に多大なる影響を与えたのだと再確認してしまう。
遊び心が満載でいわゆるただのアルバム曲にならないのが凄い。サウンド面においても琴の音色(いわゆる和)をシンセサイザー(いわゆる洋)で感じさせる和洋折衷、アルバム全体を見渡してもバイキング形式のように
彩り沢山のバリエーションで我々を翻弄させる。
自分の中で取り入れたインプットしたものを自分のモノにする力とアウトプットできるまでの速さもあって更にそこに独自性、オリジナリティーもある。
唯一無二の存在になっていく過程がよく解る作品。


M08. 「ここでキスして。」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

現代のシド・ヴィシャスに
手錠かけられるのは只 あたしだけ
作詞作曲 椎名林檎
「ここでキスして。」より引用

こんなキラーワードを言えるのは後にも先にも椎名林檎しかいないであろう。僕自身の林檎さん体験は遅いと思う。音楽の専門学校に在籍していた頃になる。皆のカリスマであったし、皆がコピーしてたりカラオケで歌っていたりして改めて凄みを感じてCDを買って歌詞カードを見て突き詰めた。1番最初に心を鷲掴みにしたのがこの曲であって、この曲には思い出が沢山詰まっている笑

僕が在学していた頃は既にデビューから20年経っていた。ただそれでも音楽界の前線にいて世の女性のシンボル的象徴でいた。越えられない壁のように君臨し続け、また誰もが真似したくなる近づきたくなる親しみやすさも兼ね備えている証拠である。

M09. 「同じ夜」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治


美しいヴァイオリンの音を奏でるのはこれから何年も一緒に奏でることになる斎藤ネコさん。
100%純正で良い意味で不協和音すら美しく感じさせる。これがアドリブなのか林檎さんからの指示なのか、僕は譜面も読めないのですがこういう旋律は譜面に起こせるのかなんてことも気になったりします……

音色が少なくシンプルな演奏の中、本物だと感じれる歌声はどこかセンチメンタルでエモーショナルな仕上がりになっている。そして何より日本語という母国語がとても美しく感じれる。形をなくしたものも人間の心にはいつまでも宿っていて、それが林檎さんの音楽に置き換えればいつまでも色褪せない宝物だと言うことに気づける。

M10. 「警告」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

1人の女性である事をこの曲で思い出させてくれる。
女性目線でストーリーは続いてるがサイドストーリーとして男性目線でも全然想像が容易いくらい
よくある話を歌っている。どこか高嶺で大人な香りを1曲目からずっと見せていたがこの曲では年頃の女の子らしさが垣間見えて、親近感を覚えさせる。

男性としてはどんなに取り繕っても意志を固めた女性は強いと改めて感じさせる内容になっています笑
筆者は男という事もあり林檎さんほどの女性を失ってから気付く彼に何となく親近感を覚えつつ、とんでもない後悔をしないためにもと反面教師にするわけです笑


M11. 「モルヒネ」
作詞作曲 椎名林檎 編曲 亀田誠治

音域や声質のバリエーションだけではなくここでは発声法にも注目したい。後のヒット作「罪と罰」や「本能」でも堪能出来る巻き舌がここでも堪能できます。というより後に手法として使う手がここで存分に楽しめる。優しくて強くて…こうなんだろう…言語化するのが難しくて感覚的なことだけれど、耳元で囁かれたら昇天しそうなほど大好きな声なのです。

適当な言葉を並べているようで奥が深いのも事実。
色んな解釈ができてただ言葉がデタラメに選ばれている気はしない。一つ一つのキーワードを結んでいくと意外な真相があったり?モルヒネという麻薬は勿論この曲で知りましたがどんなに気持ちよくなれる違法薬物をやるよりこんなステキな音楽を堪能出来る毎日の方がよっぽど幸せだと思える。いつだって僕を何処へでも連れてってくれる。


アルバムを聴いた後にちょこっと自己分析!
林檎さんのアルバムは、まぁこのアルバムに限ったことでは無いですが毎回がコンセプチュアルであり歌詞カードを読んで楽しむ文化がありますが
配信が中心になった常日頃たまには味わいたくなるCD原体験なのです。


初回連載である今回は
皆さんから皆さんへ名盤の輪をかけて
どしどしレビューして欲しいあなたが選ぶ名盤を
お待ちしておりますっ!

CD発売日にちなんで水曜日更新になります!

※個人的解釈、個人的意見になります…
間違った意見には情報をください…

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