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外出自粛だから普段手に取らないような本を読んでみた:ヘンな論文(本)

会社がリモートワーク主導に切り替わることが決まった日にたまたま出社して、「何か本でも借りようかな〜」とぼんやり思っていたところだった。

「家にいる時間が長くなるなら、せっかくだから普段手にとらないようなとにかく内容も個性的な本を選んでみよう。」そう思って、フィーリングで会社のライブラリーから数冊借りてきてみた。

そのうちのひとつが、サンキュータツオ著『ヘンな論文』。
お笑い芸人兼「珍論文コレクター」である著者が、本のタイトルどおり「何でこの研究に貴重な時間を費やそうと思ったんだろう…」と思ってしまうような研究論文を紹介するという本。ニッチすぎたり、論文の著者の個人的興味や情熱の結晶のようなテーマに対して、真面目に研究手法を用いて検証されている、世に出ている「研究」の個性の広さとそれを検証する研究方法の緻密さのバランスが絶妙で面白い。本の中で、コラムとして大学の研究がどのように行われているか、どんな種類があるのかなどアカデミアの世界も覗けて新鮮だった。

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個人的に面白いなと思った論文(エピソード)は、
・コーヒーを入れたときのコーヒーカップとスプーンの接触音がなぜ徐々に高くなっていくのか。
(何に役に立つのかよくわからなかったけれど、検証方法が緻密すぎてギャップがシュールだった。)

・公園の斜面に座るカップルのベストポジション
(データ取得方法はストーカーさながらで笑ってしまった。)

あとはタイトルだけ紹介されていた『姫君の育て方』についての研究論文は中身がすごく気になった。

著者いわく、研究には対象物、時間軸によってそれぞれ2種類、掛け合わせて計4種類の考え方があるという。
・「人間」とはなにか or 「この世界」とは何か (対象物)
・「いまどうなのか」 or 「今までどうだったのか」 (時間軸)
どんなにくだらない研究でも、自分たちとその身の回りに関する研究で、
それについての過去、現在から未来を紐解いていくことも研究の大事な側面なのだそう。

一番印象に残った著者の言葉がこちら:

美しい夕景を見たとき、それを絵に描く人もいれば、文章に書く人もいるし、歌で感動を表現する人がいる。
しかし、そういう人たちのなかに、その景色の美しさの理由を知りたくて、色素を解析したり構図の配置を計算したり、空気と気温を計る人がいる。それが研究する、ということである。

研究も一種の表現活動だと思うと、とっつきづらい学術論文も面白さ、わたしのような一般人にもわかる発見が見いだせる気がしてきた。

私は自分の卒業制作には少し後悔を残して学生生活を卒業してしまったので、その理由としては「何が知りたいのか」を突き詰めきれていなかったからかなあと反省。もしもう一度やるなら何をテーマにするだろう…とちょっと考えてしまった。

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