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映画『真実』を観る前に知っているとちょっとだけ楽しい小ネタ

①ネタバラシはしません!
②観た後でもちょっと楽しいです。

・まずは映画評論家の町山智浩さんのツイート必見!

・カトリーヌ・ドヌーヴ演じる国民的大女優の名「ファビエンヌ」は、ドヌーヴ自身のミドルネーム(本名はカトリーヌ・ファビエンヌ・ドルレアックで、「ドヌーヴ」は母の旧姓)。

・ちなみに是枝監督が飛行機の中で「国民的大女優の母と、女優になれなかった娘」という設定を思いつき、それぞれをカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュにと考えてプロットを書き始めた際の仮タイトルは『カトリーヌの真実』だった。ドヌーヴにオファー後、本人から「名前は変えてね」と言われ、監督もそのつもりだったが、配給会社はギリギリまで『カトリーヌの真実』をプッシュしていた(そのほうが現実とのシンクロ率が高くてセンセーショナルだから)。

・ドヌーヴが1961年から交際を始めた映画監督のロジェ・ヴァディム(息子クリスチャンを生んだ)がそれ以前に結婚(1952〜57年)していたのはブリジット・バルドー(←これ、若いと知らない人がわりと多いので)。

・ドヌーヴ主演の名作『シェルブールの雨傘』について。主人公の若いふたりは「子どもの名前は、男ならフランソワ、女ならフランソワーズ」と決めていたが、その後別離。時が流れ、ラスト近くで再会すると、おのおの子どもにその名をつけていたことがわかる。『真実』のダンスシーンで流れる曲のタイトルは、『フランソワとフランソワーズ』という裏設定がある(タイトルは映画では明かされません)。

・ケン・リュウの『母の記憶に』(ハヤカワ文庫)を読んでおくと、なお楽しい。星新一のショートショート並に短い(文庫で10P程度)ので、すぐ読めます。非常にいい作品です。

・ちなみに映画で使用される『母の記憶に』だが、もとはレイモンド・カーヴァーの『大聖堂』の予定だった。だが、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でカーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』を使用していたので断念した。

・是枝監督はキャスティングの助けとして、それぞれの登場人物を動物にたとえていた。ドヌーヴは「孔雀」、ビノシュは「鹿」、イーサン・ホークは「ワシ」、孫娘役は「リス」、秘書リュックは「ウサギ」、恋人ジャックは「熊」、元夫ピエールは「亀」……。

・SWITCHでの是枝監督インタビューで、監督本人から「本人が読むわけないと思うけど、ビノシュにはいま新しい恋人がいるから……」と削除された面白い話を、ここでこっそり!
 ──実際に僕が観察したものを脚本に書き込んでいくのとは逆に、書いた脚本の設定が現実とシンクロするということもありました。ロングプロットを書き終えてビノシュさんの自宅を訪ねたら、実際にキャップを後ろにかぶったガタイのいいアメリカ人の男がいて、ストーブに薪をくべていたのです(笑)。また、ファビエンヌに「亀に似た恋人がいる」という設定も僕は知らずに書いたのですが、実際にドヌーヴさんには亀に似た恋人がいたらしく、フランス人なら「ああ、あの人ね」と思い浮かぶ顔があるそうです。──

・イーサン・ホークが話す挨拶のキスの話は、是枝監督の実体験!(相手も同じ)

・ファビエンヌの自宅はパリ市内14区にある実際の家だが、真裏にパリに唯一存在する刑務所(サンテ刑務所)がある。イーサン演じる役者がアメリカのテレビ『脱獄シリーズ』で人気が出たということになっているのは、この刑務所からヒントを得た設定(「刑務所に入っていた自分の父親を真似て脱獄囚を演じている」という話をするシーンも撮っているが、本編ではカットされている)。

以上、知らなくてもぜんぜんいいんだけど、知っていると「ちょっとだけ」楽しい小ネタでした(思い出したらまた書き足します)。ぜひ、映画館で観てください!!!

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