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高速バス

名古屋に1年ぶりに行くことになった。1年前は名古屋まで特急で直通で行けたのに、途中の駅まで新幹線が延びたということで2回も乗り換えが必要になり、料金も2倍近くなった。面倒くさくなって、初めて、高速バスで行くことにした。
実家の面倒な用事で行くのだけど、気の重さをかごバッグに押し込めた。
不思議、少し気持ちが軽くなった。駅でお茶と、大好きな天むすおにぎりを買った。
名神高速に入るといつもの工事で、予定時間より1時間ちかく遅くなったけど、まあまあ快適な高速バスの旅だった。すぐに、両親のお墓に行った。
周りには誰もいなかったので、声を出して、両親に話しかけた。
「そっちの暮らしはどう?」
「いっぱい不満を言ってごめんね。だけど、大好きだよ」
そして、この旅の一番の用事のビルに向かった。担当者は私より年上なイメージを抱いていたけど、会ってみると、20才くらい年下だった。
ここ4,5年の質問を受けた。見事に記憶が飛んでて、まともに答えられず、かろうじて答えたことにも、矛盾点の指摘が飛んだ。ちょっと情けなくなった。でも、最後に、私の今の苗字と名前の取り合わせがとっても美しいとほめてくれた。少し救われた。
2時過ぎて、ランチするお店を探しに矢場町に移動。

ハンバーグが美味しいし、ご飯サラダデザートもお代わり自由

パルコで新しいお肉やさんを見つけた。満足した。隣のデパートに行き、友達の子供に、サンリオショップで日本のお土産を買った。その階で、東京駅のキャラメルサンドの紙袋をもった人を見て、もしかして、このデパートでも買えるのって思って、あわてて、食品フロアに降りた。期間限定で出店してた。思わず、8個入り10箱と12個入り2箱買った。
「並ばず買えて、嬉しい」と言ったら、店員さんが「私たちはちょっと複雑」というので、「このデパートで買えること、みんな知らないんだと思いますよ」って言った。続けて、「この美味しさは特別だもの。私は、フランス人の友達に食べてもらいたいから買うの」と言ったら、店員さんが、キャラメルクッキーに向かって、「海外に行くのね」と優しい声で言った。
その直後、気が付いた。NEW YORKって書いてある…。日本のお土産って渡しづらいかも…。二つ理由を考えた。極上の美味しさだし、そもそも洋菓子だから、TOKYOではなく、TOKYOよりもっとグレードの高そうな都市NEW YORKという名前を付けただけとか、今でも、1時間並ばないと買えないけど、もし、TOKYOって名付けたら、外国人観光客もお土産に買うからもっと行列が長くなるからとか、勝手に理由を考えた。
理由を考えながら、左手に、巨大なキャラメルクッキーの袋、右手にカゴをもってよろよろ歩いた。あまりに重いので、買い物はもうやめて、名古屋駅の高速バス乗り場に向かった。出発3時間前。地下街の居酒屋で、せんべろを頼み、コメダで時間をつぶした。