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【ホロアース考察/妄想】ミスラとミスラ神【画像量注意】

COVER社は、自社の看板であるVTuberグループ「ホロライブ」から派生させた「ホロライブ・オルタナティブ」という企画を展開している。考察記事のためこのあたりの説明は省くが、ざっくりいえば「VTuberのキャラクター設定を活かしてもう一つの物語を展開する」ファンタジー世界観と、それを表現する作品群の事をさす。その作品群の一つを形成するのが、開発中のメタバースであるホロアースだ。

作品群の中でも人気を博す「Holoearth Chronicles Side:E ヤマト神想怪異譚」の舞台、ヤマト。

ホロライブ・オルタナティブ(以下ホロオルタ)は画集「Holoearth Chronicles」に始まっており、その名を取った「ホロアース」(Holoearth)にも相当な期待が寄せられている。以下に示すのは、前提となる3つのMVだ。見なくても分かるように説明するが、そう長くもないので一度見てみてほしい。

本題とミトラス神について

記事のタイトルにあるように、今回のお題はこの中に出てきた「ミスラ」という存在だ。彼女は「人類保全AI」を名乗り、ホロアースのロビーにて案内人として佇んでいる。

ホロアースのロビーにて撮影されたミスラ。メタマテリアルらしき青い結晶体や星空柄のマントなどが要素として見て取れる。

この手の考察に詳しい方々は既に察しがついているだろうが、このキャラクターのモチーフと推察されるのがイランの土着神「ミスラ」である。友情や平等な契約を司り、後に英雄神や太陽神、さらには創造神とされるようになった。イラン神話にて産まれ、その後インド神話、仏教、ミトラス教などに影響を与えた最初期の神だ。

ミトラス教のミラノ神殿跡に聳える大壁画。黄道十二星座のマントを翻し、聖牛を屠るミスラ神(ミトラス)を描く。

英語表記においても両方「Mithra」であるため間違ってはいないだろう。ミスラ、ミトラ、ミトラスなど様々な呼び方があるが、今回はその中でもミトラス教に絞って紐づけていく。そのままミスラと呼ばれる地域の神話よりも大幅に近しいためだ。ミトラス教はかつて存在した巨大宗教で、主にヨーロッパにてかなりの勢力を持ち、キリスト教とは対立する中でそれぞれの神話を吸収していった仲である。

といっても現状正式リリース前であるホロアースについての情報は限られており、ミトラス教自体も密儀宗教であることと相まって出せる要素がそう多くはない。

次に比定するのは、ミスラに侍る謎の球体である。見ると対になっており、白い方はふよふよと浮いてついてまわり、黒い方は抱えられて動かない。

これらと比定するのは、コーテス神コートパテス神である。彼らはミトラスに従属する松明持ちで、それぞれ日出と日没を司り、松明の向きで判別される。

よく見ると左右にいるコーテス神(左)とコートパテス神(右)。ちなみにその上や横にある神は特に関係が無い。

太陽の神格に広く認められる傾向として、日出と日没を繰り返すことから「生と死」に関連付けられることが多い。ミトラス神もその例に漏れず、それぞれを司るコーテス神とコートパテス神が生、死を象徴する。この対比はミスラの横に飛ぶコーテスくん(仮)が浮き、コートパテスくん(仮)が機能停止していることと結び付けられるだろう。

矛盾点

ここまでつらつらと書き連ねてきたが、大きな矛盾点が一つ存在する。それは、ミスラ神が眠らない司法神であることだ。

爆睡するミスラ。

司法神に求められる要件として、眠ることなく世界中を見つめることがあげられる。司法である神が眠るということは、司法そのものが麻痺することと同義であるからである。しかし、ホロアースにおけるミスラはβリリース後数か月の間見るからに休眠していた。これでは地上は無法地帯である。いや、下に見える星には海と雲しか見て取れず陸が見えないので問題ないのかもしれないが……。ホロアースには既にオオカミ神社などの文明圏が確認されている以上、この部分には疑問が残ってしまう。

ちなみに、ミスラ神は「千の耳と万の目を以て世界を見通す眠らない神」である。そこでホロアースにおけるミスラの瞳をよく見てみると、ホロアースまたはホロオルタのロゴになっている。これは単なるデザインであるのか、それとも彼女の監視の目だったりするのか。

その他、あとがき

プレイヤーの名称が「パスファインダー」(線を繋ぐ人、転じて星座を作る者をさす)であったり、公式の情報まとめサイトがウラノメトリアをイメージしたであろう「ホロノメトリア」であること、デフォルト主人公の服に「STAR-GAZER」(星を見る人、転じて占星術師や天文学者の俗称)とあったりと星空要素が多々見られるホロオルタ。ミスラ信仰との繋がりは不明瞭だが、信仰域にて誕生したバビロニア占星術は今でも用いられることがある著名な方式である。

現状のホロオルタ系列の情報源がヤマトのみであり、謎多きミスラについての新たな情報の提供はかなり少ない。ミスラが石から出てきたり岩から水を出したりサソリを放ったりすれば完全に比定できるのだが……。ヤマトには「カミ」という概念やそれに属する「イナリ」などこれまた実際の神に比定できる存在があるが、彼らとの関係性くらいはわかるのだろうか。

ミスラはムービーにて、(なぜか英語だが)パスファインダーのスマホに「別の世界軸に来てみたくないか?」と読めるような通知を送っている。リアルアースからホロアースに人を送ることが人類保全に必要なことであるのか、まさかどちらかの世界で人類が滅びそうになりでもするのか。そのような想像に飛んだ人間から妄想はこじれにこじれ、なぜか一部のユーザー層がミスラに対し黒幕疑惑をかけ謎のヘイトを持っているらしい。

少々メタ読みになるが、ホロアースにおいてホロメンをラスボスにするようなことはそうないだろう。そもそもがメタバースであるため濃密なストーリーが展開されるかはわからないが、黒幕に設定しようものならユーザーを通してオリジナルのライバー側に影響が出かねない。しかしミスラはホロメンと違い企画内で生まれた、言ってしまえば正しく「中の人などいない」キャラクターであるためどんな立ち位置にもおけるのだ。そんなミスラがこれからどのような動向を辿るのか、本当に彼女が黒幕なのか、固唾を呑んで見守ることとしよう。

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