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きたがわ@ひいらぎ読書会
2021年9月29日 23:15
十七、八歳の頃、ずいぶん原田宗典さんの本を読んだ。軽妙な随筆とは反対に、彼の書く小説の主人公はみな、どこか卑屈で、じめじめした奴らだった。傲慢な高校生だった僕は、ちっぽけな自分と向き合う方便として、彼らの惨めな物語を貪欲に吸収した。彼らの惨めさを笑いながら、自分の惨めさと何とか折り合っていた。 でも、大学生になってしばらくすると、本棚にずらりと原田さんの本を並べているのが何だか恥ずかしくなって