ヒルナンデス!非公式テーマソングができるまで(6)

最終回。

ウキウキ感に欠かせないあの音について書くのを忘れていた。

ハンドクラップ(手拍子)。

曲中でルーターズ「Let’s Go」に類似したリズムを叩き続ける、という発想は、懐かしの「慎吾ママのおはロック(作編曲はピチカート・ファイヴの小西康陽)」のオマージュだったりする。もしくは小沢健二「流動体について」。

「おはロック」に関しては、「あふれるスマイル」の部分のアレンジもオマージュしている。

オマージュ繋がりで言うと、たとえば「ようこそジャパリパークへ」からの影響も。冒頭のティンパニのロールとか、畳み掛けるような美しいメロディの連続、そしてアウトロの「ラララ」など。

平歌(サビ以外のセクション)で同主短調に転調というアイデアは大好きなフリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」から。

前述の通り、サビのリズムパターンは星野源「GAG」から。

あとは現代的なテンション高めのポップスという意味で、いきものがかり「気まぐれロマンティック」なんかも少し意識している。

アレンジについては色々とアイデアを拝借しつつ、それらを自分好みに組み合わせて、自分ならではのメロディを書いていく。まさに作曲の醍醐味だ!

そして、ラララのメロディ。これは高校生活も終盤という時に、ふっと閃いた。体の中を電撃が走った。我ながら美しく、切ない。いいメロだ。

当時、学年全員に配布される卒業ビデオの中の一曲に使った(曲名は「ヤンバルクイナ」。沖縄修学旅行の場面で使ったので、そんなタイトル)。しかし、それだけじゃなくて、いつかこのメロを「ここぞ」というタイミングで発表して、大勢の人に聴いてもらいたい、とずっと思い続けていた。

昔やっていたアースバウンドというロックバンドの曲にも、チラッと入れてみたり。

今回、この曲調にぴったりフィットし、かつ締めの「ヒルナンデス!」へのジョイントも完璧だった。このメロディは、ここでヒルナンデス!の曲として使われるために、頭の上に降りてきたのだと思った。ここで使うしかない。

結果、番組のエンディングにふさわしい、ちょっと切ないセクションができたのである。落選になり、またも世の中に紹介できなくてすまない。。

最後に、ボーカル中村千尋のはなし。

実は当初、ぼくが歌うか、中村が歌うか、という二通りプランがあった。

実際歌ってみたところ、どうにも陰気臭いというか、華やかなヒルナンデス!のイメージとは少し乖離している気がした。

やっぱり、「お昼だよー!」って、パーっと明るく歌ってくれる人がいい。華やかという意味では、やっぱり女性がいい。

そして音楽学校からの友人の中村にお願いしたところ、あまりにもアレンジにマッチした、明るくいい歌を歌ってくれたので、これで行こうと即決した。

10選に残れたのは、パッと明るい彼女のボーカルのおかげであることは間違いない。

こうして、ヒルナンデス!非公式テーマ曲「LUNCH TIME RAINBOW」が完成した。もうこれ以上、なんの改訂も必要ない。

結果、最終選考に残ることもままならないばかりか、放送で流れたのもたった1回、およそ10秒。月曜から毎日流れていたグループと比べると随分不遇の扱いだ。おかげで訴状に載ることすらほとんどなかった。これは音楽そのものの良し悪しというより、単純に不運であったと受け止めている。どう聞いたって番組にマッチした、いい曲だもの。

なので、非公式テーマソングと銘打つことにした。「本当のテーマソングよりいいじゃん、こっちの方がヒルナンデス!っぽいじゃん」と言われたら、間違いなくニヤニヤします。

そんなこんなで、長くなりましたが、今回で「LUNCH TIME RAINBOW」の解説は終了です。

みなさんのお昼をちょっと輝かせる、そんな曲であり続けますように!

長々とお読みいただきありがとうございました。

ホリーダ・ケイ

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