ビジネスにUXデザインをどう活かすか
世の中に出回っている多くのヒット商品やサービスは、顧客が求めていた課題を解決するものです。
「今すぐ欲しい」に答えたのがAmazon Prime Nowですし、「ボールペンは便利だけど、書き間違えた時に面倒」に答えたのがフリクションボールと言えます。
この顧客の感じている課題と解決策の発見プロセスを、イギリスの歴史あるデザイン機関Design Councilがダブルダイアモンドと言う形で発表しました。(原文はこちら)
この図は新規サービスやプロダクトを開発する理想的な流れを、課題選定(左側)と、解決策の決定(右側)とに分けて表しています。
例えば外資系のとあるデザインファームでは、この左側のダイアモンドだけを受注し、2-3ヶ月間かけて取り組むべき課題の提案を行います。
インタビューや行動観察といった情報収集を繰り返し、時には100を超える課題を見つけ、事業として可能性のある課題を厳選し提案しているのです。
それくらい適切な課題を見つけることは難しいのです。
では、多くのビジネスの現場ではどうでしょうか。
「既存事業とシナジーを生む新規事業が欲しい」
「ここのシェアが薄いので取りに行って欲しい」
多くの新規事業アイディアは経営陣からの通達で決まり、ダブルダイアモンドの左側を飛ばして現場に降りてきます。時にその課題は会社内の課題を解決するものであって、市場にある課題ですらないかもしれません。当然十分な課題発見と絞り込みのプロセスを経ていない課題が、市場に求められるかは出して初めて検証できる博打です。
中心部分になって初めて現場に渡され、そこからUXデザインの手法を取り入れても手遅れなのです。仮に課題発見から任されても、その方法を知らなければ右往左往することになります。だからこそ事業の発端にいるビジネスマンにUXデザインの手法を知り、実践して欲しいと思い、カバー画像に「ビジネスマンのためのUXデザイン」と書きました。
今後、以下の分野におけるUXデザイン手法を書いていきます。
Discover (情報収集とアイディエーション)
統計情報やWeb、雑誌といったメディア情報だけでなく、現場の声やユーザー行動・感情を拾い上げながら情報収集を行います。ぼんやりとしたターゲット像に止めるのではなく、実際に彼らに会いに行くことで貴重な情報が得られます。オフィスの中にいるだけでは十分な情報収集は不可能です。
集めた情報を整理し、どこに課題があるのかを考察して行くアイディエーションもこの過程です。
Define(課題の絞り込み)
多くの課題を評価し、解決すべき課題を絞り込みます。自分たちがその課題を解決する理由はあるか。既存のビジネスとのシナジーはあるか。評価軸をきちんと定め、実現可能性や将来性なども加味して絞り込みます。ここのジャッジの手法こそ、事業責任者や経営陣に必要なはずです。
UXデザインとは顧客視点でサービスを考えるテクニックです。本来解決すべき課題は上から降ってくるのではなく、ボトムアップで見つけ出すものです。(例外もあります)
事業の成功確率を上げるためにも、現場で実践できる内容をこれから発信していければと思います。
それでは
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