*花と母の日の裏事情 ~母の日はイタリア悲劇~

母の日の裏事情で驚いてしまうのは、奥さんが自分の親とご主人の親と価格の異なる花を贈る傾向があるということです。人生色々、母の日も色々です。
ケース1:同じ価格の花を贈る
ケース2:ご主人の親のほうを高くする
ケース3:奥さんの親のほうを高くする


と、まあ、こんな具合なのですが、ご主人が注文される場合は、99%がケース1の同価格なのですが、奥さんが注文される場合は、20%程度はケース3なのです。自分の親のほうに高いお花を贈っているのです。本当です!夫婦仲に問題のある方や、ご自分のお母さんと奥さんの間に立って人生の修行をされている方は、この20%程度に入る可能性が高いです。そんな方は、「会社で取引のある花屋があるから、今年は俺が頼んどくよ!」と気が利くふりをしてみるのも得策かも知れません。


 以前、新婚のAさんというお客様が、ご主人のお義母さんに自分のお母さんの倍額のお花を注文されたのです。流石新婚、いや、きっとよくできたお義母さんなのだろうと想像しておりました。しかし、一年後の母の日には、自分のお母さんには、一万円の豪華版のお花で、旦那さんのお義母さんには、3800円のエコノミーセットに格下げになってしまいました。シーザーではありませんが、「ブルータス、お前もか?」と思わず叫んでしまいました。


「心なき、身にもあはれは、知られけり、鴫(シギ)立沢の、秋の夕暮れ」という短歌も、ことによったら、母の日に差をつけられて、鴫立沢のあまりにも美しい夕暮れを見て、人生を噛みしめている西行法師が詠んだ短歌ではないかと被害妄想に陥ってしまいました。

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 母の日に感動したこともありまして、亡くなった義理のお母さんにお供えのお花を母の日に贈り、「お母さんのお好きだったお花です。お母さんに飾ってください。」というメッセージがありました。お供え用に、お彼岸やお盆にお花を贈られる方は結構いらっしゃいますが、親が亡くなってしまわれた方については、本当のお供えは母の日や父の日だと、あらためて思いました。ハートがこもっています。日本もまだ捨てたものではありません。


オーストリアの友人に聞いた話ですが、南ドイツ・北イタリア・オーストリアでは、母の日にお墓参りに行く習慣があるそうです。アイリス、アルストロメリア、スプレー菊などを持って出かけるそうです。気温が高い時は、切り花でなくアザレアや忘れな草などをお墓の周りに植えるとのことです。母の日は、お母さんがこの世に生きている、いない、は関係ないと思いますし、花屋さんやデパートが大騒ぎしている、単なる「商売のキッカケ(ビジネスチャンス)」では、ちょっと淋しい気もします。驚いたことに、お花屋さんが全国配送する団体(花キューピットなど)では、年間扱い数のうち10%以上が母の日だそうです。

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