スペイン🇪🇸の血液内科

耳鼻科から血液内科へ

先日#3で悪性リンパ腫と診断されたことを書きました。その後の治療に至る経緯など当時の日記を参考に綴っていきたいと思います。

がんだから、Oncologia （ガン科）だと思っていたら、血液のガンなのでHematología（血液内科）にお世話になることになりました。

病名は節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型。鼻が原発巣となる、悪性リンパ腫の中でも稀な型とのことでした。血液のガンなのに血液検査では発見されず、生検だけで発見される病気のようです。なので気付かない事が多く、発見が難しいらしいです。耳鼻科の先生に感謝、感謝です。発見してもらえなかったら、手遅れになってたかも。。。私も、風邪かなとか思っていたので、あのまま放置していたら。。。そう考えただけで、怖いです。

私『私の余命は？』と、聞いたところ
医者『あなたは治療して、治るのよー！！もしあなたが治らないって知ってたら、どっか旅行に行って好きに人生楽しみなさいって言うわ～』
と笑顔。なんとも明るい美しい女医さん。スペイン人は一般的には明るく陽気なのですが、南部出身の人は北部出身の人より、輪をかけて陽気と言われています。この女医さんも南部なので、スペイン人だから？アンダルシア人だからか、この笑顔は？？と思いながら、用意してたものすごい長ーーーい質問リストにも、ひとつひとつ丁寧に答えてくれました。よくスペイン人は声大きいなぁとか、慣れ慣れしいなーと思ってたけど（←失礼笑）こんな大きな病気になるとしんみり話されるよりも、元気に励ましてくれる方がこちらも大丈夫かも！と変な期待を持って、なんだか、頑張れそうな気がしました。血液内科に訪れるまで、正直かなり落ち込んで、ものすごーーーく暗い毎日だったのですが、色々と説明を聞いて、少しだけど希望の光が差し込んだような気分になりました。小さな子供達のこと考えると、心配で、心配で。当時娘は６歳、息子は３歳でした。子供達にとってママは一人、ダンナはまた新しい奥さんのチャンスがありますが（笑）

またとてもラッキーなことに、子供達の学校の仲良くしているお友達のママさんが、たまたま別の病院の血液内科の医者でした。私の担当医とカンファレンスなどで会ったことがあり、知り合いだったので、この外来前に一報入れてくれていたそうです。なので、初対面とは思えないほどフレンドリーでした。こういうサポートって本当にありがたいです。持つべきものは友！！家族を始め、友達、周りの方々のサポートに本当に助けられました。またスペイン人の温かさにも改めて気付かされ、治療を頑張る励みになりました。

PET検査

PET検査当日は検査まで飲食禁止、検査の前に５００MLの水を飲むととなっています。予約の11:45mまで飲まず食わず。しかもこの日は体調が悪く、熱が39度近くありました。普通に座ってるのもツラく、検査を待っている間も、ベッドに寝かせてもらいました。私の診断された節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型は、とにかく高熱がよく出ました。MRIがあまりにもうるさかったので、PET検査もそうかと思っていたけど、意外にも音が静かでした。付き添いで来てくれた義母が、車いすを頼んでくれて、検査後はそのまま救急病棟にいきました。 点滴で熱を下げてもらって、様子見ということで、半日入院で家に帰されました。この病気は、腫瘍がアグレシッブタイプのようで、週単位で大きくなるそうです。なので、日々調子が悪くなって行ったのを覚えています。下を向いたりすると、ズキズキ痛くて、体調不良の日々でした。

骨髄検査

たーくさんの日本食をかかえて、はるばる母が来てくれました。
自分の服等ほとんど持たずに、私が大好きな日本食を山ほど！！本当に感謝です。母が来てくれて、ホッとしました。その母付き添いしてもらい、骨髄検査。初めてのスペインの病院に母は、とてもカルチャーショックを受けていました。というのも、ほとんど患者1人で病院に来るというのがなく、誰かしらの付き添いがいるのです。家族を大事にする国なので、親戚だろうが、義理だろうが、付いて来れる人が誰かしら付き添うという感じなのです。私も母がまだ来ていない時は、ダンナ、義母、義姉、義兄など、、、逆に1人で行かせてくれなかったです。

なので、スペインの待合室には、ものすごい人数でした。おしゃべり大好きなスペイン人なので、スピーカーで名前を呼ばれるのですが、うるさくて、聞こえない！！そして、時より誰かが『しーーーっ』と言って、ちょっと静まるけど、３分くらいするとまたおしゃべり開始（笑）すると言った、日本では見られない光景です。
待合室でも普通に携帯で話してるし、それを見ても病院関係者も何も言わない、良く言えば自由な感じです（笑）
そんな中でも自分の名前を聞き逃さなくなりました。慣れってすごいですね（笑）

検査室へは、本人のみ。
痛くないよー、少し痒いからねーと言われながら、２つのボールを渡されました。表面麻酔がしみるというか、不意打ちにいたかったです。
そして数秒すること、、、ゴリゴリって今聞こえましたけど。。。
初めての自分の骨の音。。。歯を食いしばって、もらったボール２つを握りしめました。骨髄液を採取して、おしまい。

少し痒いからねーなんて、大ウソつきです。ものすごく痛いです。
終った後も当分痛くて、痛くて腰を押さえながら、母に支えられながら帰りましたよ。　

治療方針の決定

PET検査で、鼻の腫瘍と首のリンパに少しということで、ステージ２と判断されました。ええ、ステージ２？と私がショックを受けていると、この病気はステージ４でも治るから！と言ってくれて、勇気が出たのを思えています。そしてアグレッシプタイプの腫瘍。腫瘍が週単位で大きくなるので、鼻を始め、目、歯まで圧迫され、かなり痛かったです。日に日に上を向いて寝る事が大変になり、横向きで寝ていました。

治療法は、DeVIC療法という抗がん剤治療３～６クール、放射線治療×２５回と決まりました。悪性リンパ腫はあくまでも血液のガンなので、手術して悪いところを切り取る事が出来ないのです。そのかわり放射線療法と化学療法がとても効果的とのことでした。DeVIC療法は日本の腫瘍学グループにより発見された療法らしいです。この病気、節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型 はどうやらアジア人に多く、また日本で症例がたくさんあるようなので、日本の療法と聞くとホッとします。逆に、欧米では症例がとても少ないらしいです。

セカンドオピニオン

正直セカンドオピニオンを聞くということは、とても大事だと思います。日本でももちろんですが、海外でもし大きな病気が分かった場合には特にそう思いました。私のかかったNK/T細胞リンパ腫 鼻型は、希少ガンで症例も少なく、また東アジアおよび中南米に多く、欧米に少ない、進行期では予後が著しく異なるともGoogle で見つけて、益々心配になりました。当時の私はがん告知がされてから毎日ように、インターネットで調べまくるということをしていました（苦笑）現実を受け止めるために知りたいと思う方は良いですが、最悪のケースなども出て来たりするので、逆に不安になるという方はあまりオススメの方法ではないです。私の担当医もGoogle するなと口を酸っぱくして言っていました。

そして日本の両親にお願いして、都内の有名な２つの病院に両親にセカンドオピニオンを聞きに行ってもらいました。英語で診断書を出してもらえれば、本人が海外にいても代理で親が受診を対応してくれます。結果２つの病院とも、医者の出した決断はスペインと同じ治療法でした。正直スペインはヨーロッパの中でも遅れてるイメージがあったので、あまり信用してなかったのですが、さすがEUですね（⇦失礼ですね）意外に早く対応してくれて、基準治療と呼ばれるものは日本と同じようです。

もちろん日本に行って治療という事も考えました。でも、やっぱり家族にそばにいて治療したい、子供達の成長を見ていたい。もしも最悪の状態になって、子供達やダンナと離れて死んで行くのは嫌だと強く思いました。片言のスペイン語だし、カタルーニャ語（バルセロナの公用語）なんてチンプンカンプンだし、フィエスタの国でちょっと心配だけど（←失礼）それでもやっぱり、バルセロナで治療しようと決意しました。
私の両親はそれは、それは日本で治療して欲しかったに違いありません。
医療だって絶対にスペインよりは進んでるし（←また失礼）

でもスペインの割には、そして公立病院の割には、とても早く治療方針を決めてくれたような気がします。もしかしたら、私の病気の進行が早かったのかもしれませんが。。。

最後まで読んでくれてありがとうございました。海外でがんと告知された方、またこれから治療をする方の少しでも参考になれば幸いです。
それでは、素敵な夜をお過ごしください。アディオ〜ス！！