コンテクストデザインの誤読 -図解編-
コンテクストデザインとは何か、何ができるか考えています。
そこで、今回は自分の中での整理も含めてコンテクストデザインを図にしてまとめてみました。
もちろんこれは私の誤読も含まれます。コンテクストデザインについてきちんと理解したい方は、Takram渡邉さんのnoteをご覧ください。
本だとさらに詳しく知ることができます。
まだまだ私もコンテクストデザインについて解釈しようと試行錯誤中です…誤読の一過程としてお読みください。
コンテクストデザインのキーワード
コンテクストデザインを語る上でキーワードとなってくるのが「強い文脈・弱い文脈」「読み手と書き手」です。順をおって説明していきます。
強い文脈からそれぞれの弱い文脈が生まれる
まずは「強い文脈・弱い文脈」から始めます。
コンテクストデザインでは、まずは一つの強い文脈があり、それを受け取った人々からそれぞれの弱い文脈が生まれます。これらの弱い文脈に正解はなく、受け取った人はそれぞれ異なる弱い文脈を持ちます。
強い文脈・弱い文脈の具体例
渡邉さんのプロダクトの一つにFLORIOGRAPHYというものがあります。これは一見ただのブーケですが、ブーケの内側が便箋になっていて手紙を添えて相手に渡すことができます。
FLORIOGRAPHY(画像)
出典:Takram
便箋には「水曜日」「ディナー」など、2人の関係に関連がありそうな単語が並んでいます。そこから好きな単語を選んで、例えば「水曜日、ディーナー、行きましょう」などとお誘いの文章を書くことができます。
このように、「単語が並べられた便箋を添えて渡す花のコサージュ」という強い文脈はあるものの、それをどう使うかは人それぞれ。ディナーの誘いでも、仲直りの手紙でもいいかもしれない。このように、弱い文脈は人によって変わります。
一つの強い文脈から、複数の弱い文脈が生まれる。これがコンテクストデザインの特徴の一つです。
読み手と書き手が入れ替わる
次に、「読み手と書き手」についてです。まずはこちらの絵をご覧ください。
Norman Rockwell (1894-1978), “The Gossips,” 1948. Painting for “The Saturday Evening Post” cover, March 6, 1948. Oil on canvas. Private collection. ©SEPS: Curtis Publishing, Indianapolis, IN
出典:Sotheby's
これは、ノーマン・ロックウェルの「うわさ」という絵です。渡邉さんがコンテクストデザインについてお話されるときに出てくる例の一つでもあります。
この絵の面白いところは、話を聞いた人が他の人に話を伝え、またその話が他の人に伝わり…と繰り返されていくところです。
コンテクストデザインにも同じことが言えます。コンテクストデザインには読み手と書き手が存在し、書き手が読み手に伝え、その読み手が今度は書き手となって次の読み手に伝えていきます。
概念的なので、具体例で説明しましょう。
読み手・書き手の具体例
例えばFLORIOGRAPHYでは、FLORIOGRAPHYという書き手から、ある読み手が「彼女にディナーの誘いをするために渡そうかな」という弱い文脈を持ちます。この時点では読み手です。そして、自分でFLORIOGRAPHYを完成させたとき読み手から書き手に移り変わり、その「ディナーの誘い」という強い文脈を、彼女(読み手)に渡します。
このように、コンテクストデザインでは読み手が書き手になるという特徴があります。
余談:それって今あるデザインにもあるくない?
コンテクストデザインでなくても、読み手が書き手になるようなプロダクトはあると思います。しかし、コンテクストデザインには少し違ったところがあります。
今あるデザインでいうと、ユーザーにどんな価値を提供するか、何の問題を解決するかを定めることが多いかと思います。
しかし、コンテクストデザインは、受け取ったあとに自分で解釈し、何か新しいものを生み出す。そしてその新しいものは、人それぞれ違ってよく正解はない。最初の書き手さえ意図した正解を持っていないところに違いがあります。
もしかしたらFLORIOGRAPHYの手紙は、献花に使われるかもしれないし、渡さずに飾って終わるかもしれない。
このように、意図した正解はないところがコンテクストデザインの特徴です。
最後に
今回はコンテクストデザインの大きな特徴である「強い文脈・弱い文脈」「読み手と書き手」について書かせていただきました。どうだった…でしょうか…?
コンテクストデザインには、この二つの特徴以外にもアプローチの特徴や可能性など語りきれていないことがまだまだあります。
私も誤読の最中です。これからも気ままに考えていこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
その他の記事はこちら↓
デザインの勉強に使わせていただきます!