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精神保健指定医の口頭試問で最も中核となる項目だと思われます。集中合宿③とかぶるので、そちらのリンクも貼っておきます。

精神保健指定医【口頭試問】集中合宿③とにかく毎日読んで暗記する必須事項

医療保護入院の成立

医療保護入院における家族等の同意に関する運用について

1.今回の法改正においては、保護者制度の廃止に伴い、医療保護入院について精神保健指定医1名の判定とともに、家族等(配偶者、親権者、扶養義務者及び後見人又は保佐人であって、行方の知れない者、未成年者等に該当しない者をいう。以下同じ。)のうちいずれかの者の同意を必要とすることとした。(法第33条第1項及び第2項)

2.当該改正の趣旨は、適切な入院医療へのアクセスを確保しつつ、医療保護入院における精神障害者の家族等に対する十分な説明とその合意の確保、精神障害者の権利擁護等を図るものである。

3.なお、医療保護入院は、本人の同意を得ることなく入院させる制度であることから、その運用には格別の慎重さが求められる。本人の同意が求められる状態である場合には、可能な限り、本人に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、その同意を得て、任意入院となるように努めなければならない。

4.医療保護入院においては、その診察の際に付き添う家族等が、通例、当該精神障害者を身近で支える家族等であると考えられることから、精神科病院の管理者(以下「管理者」という。)は、原則として、診察の際に患者に付き添う家族等に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、当該家族等から同意を得ることが適当である。

5.管理者が家族等から医療保護入院の同意を得る際には、同意を行う者の氏名、続柄等を書面で申告させて確認する。その際には、運転免許証や各種医療保険の被保険者証等の提示により可能な範囲で本人確認を行うとともに、当該者の精神の機能の状態等を踏まえ、上記書面の申告内容を確認されたい。

なお、医療保護入院の同意に関する書面の様式例を参考までに添付するので、適宜活用されたい。

6.管理者が家族等から医療保護入院の同意を得る際に、後見人又は保佐人の存在を把握した場合には、これらの者の同意に関する判断を確認することが望ましい。

7.また、当該医療保護入院者に係る精神障害者が未成年である場合に管理者が親権者から同意を得る際には、民法(明治29年法律第89号)第818条第3項の規定にしたがって、原則として父母双方の同意を要するものとする。

8.精神障害者に対する医療やその後の社会復帰には家族等の理解と協力が重要であることを踏まえると、医療保護入院は、より多くの家族等の同意の下で行われることが望ましい。

このため、管理者が医療保護入院の同意についての家族等の間の判断の不一致を把握した場合においては、可能な限り、家族等の間の意見の調整が図られることが望ましく、管理者は、必要に応じて家族等に対して医療保護入院の必要性等について説明することが望ましい。

9.管理者が家族等の間の判断の不一致を把握した場合であって、後見人又は保佐人の存在を把握し、これらの者が同意に反対しているときには、その意見は十分に配慮されるべきものと解する。

10.また、管理者が家族等の間の判断の不一致を把握した場合において、親権を行う者の同意に関する判断は、親権の趣旨に鑑みれば、特段の事情があると認める場合を除き、尊重されるべきものと解する。

11.医療保護入院後に管理者が当該入院に反対の意思を有する家族等(医療保護入院の同意を行った家族等であって、入院後に入院に反対することとなったものを含む。)の存在を把握した場合には、当該家族等に対して入院医療の必要性や手続の適法性等について説明することが望まれる。その上で、当該家族等が依然として反対の意思を有するときは、管理者は、都道府県知事(精神医療審査会)に対する退院請求を行うことができる旨を教示する。

市町村長同意事務処理要領

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号。以下「法」という。)第三三条第三項に基づき医療保護入院に必要な同意を市町村長が行う場合の事務処理については、以下の要領によること。

一 入院時に市町村長の同意の対象となる者

次のすべての要件を満たす者
(一) 精神保健指定医(以下「指定医」という。)の診察の結果、精神障害者であつて、入院の必要があると認められること。
(二) 措置入院の要件に該当しないこと(措置入院の要件にあてはまるときには、措置入院とすること。)。
(三) 入院について本人の同意が得られないこと(本人の同意がある場合には任意入院となること。)。
(四) 病院側の調査の結果、当該精神障害者の家族等のいずれもいないか、又はその家族等の全員がその意思を表示することができないこと(これらの家族等のうちいずれかの者がおり、その同意が得られないときは、医療保護入院はできないこと。)。


(1) 応急入院で入院した者については、七二時間を超えても家族等のうちいずれかの者が判明しない場合で、引き続き入院が必要な場合には、市町村長の同意が必要であること。
(2) 家族等のうちいずれかの者がおり、その同意が得られないときで、法第二九条に基づく措置入院を行うべき病状にある場合は、法第二二条に基づく申請を行うこと。

二 入院の同意を行う市町村長

(一) 本人の居住地を所管する市町村長とすること。
居住地とは、本人の生活の本拠が置かれている場所とすること。生活の本拠が置かれている場所が明らかでない場合においては、住民票に記載されている住所とすること。

(二) 居住地が不明な者については、その者の現在地を所管する市町村長とすること。
現在地とは、保護を要する者が警察官等によって最初に保護された場所等をいうこと。

(三) 市町村長が同意を行うに当たっては、あらかじめ、決裁権を市町村の職員に委任することができること。

三 病院からの連絡
病院は、入院する患者について、居住地、家族等のうちいずれかの者の有無等を調査し、当該患者が入院につき市町村長の同意が必要な者である場合には、速やかに市町村長の同意の依頼を行うこと。

なお、入院の同意の依頼の際には、市町村長の同意を行うために必要な事項が明らかになるように、次のような事項について連絡すること。
ア 患者の氏名、生年月日、性別
イ 患者の居住地又は現在地
ウ 患者の本籍地
エ 患者の病状(入院が必要かどうかの判断をする根拠となるもの)
オ 患者の家族構成及び家族に対する連絡先
カ 患者を診察した指定医の氏名
キ その他参考となる事項

なお、市町村長の同意の依頼は迅速に行うこと。このため、同意の依頼は電話等口頭で行えるが、口頭依頼後に速やかに同意依頼書(様式一)を市町村長にあて送付すること。

四 市町村において行われる手続き

(一) 市町村の担当者は、病院から電話等で入院の同意の依頼を受けた際には、市町村長の同意を行うために必要な次のような事項については聴取票(様式二)に記載して明らかにしておくこと。

ア 患者が入院する病院の名称・所在地
イ 患者の氏名、性別、生年月日
ウ 患者の居住地又は現在地
エ 患者の本籍地
オ 患者の病状(入院が必要かどうかの判断をする根拠となるもの)
カ 患者の家族構成及び家族に対する連絡先
キ 患者を診察した指定医の氏名
ク 聴取した日

(二) 病院から依頼を受けた後、市町村の担当者は、患者が市町村長の入院の同意の対象者であるかどうかを確認するため、以下のような手続きをとること。

ア 患者が居住地を申し出ている場合には、住民票等によりその確認を行うこと。
(注) 確認できない場合には、居住地が不明な者として二(二)のケースとして扱うこと。

イ 病院が把握していない家族等の存在を把握し、連絡がとれる場合には、その同意の意思の有無を確認すること。

(三) (二)の手続きをとり、患者が市町村長の入院の同意の対象者であることを確認のうえ、市町村の担当者は速やかに同意の手続きを進めること。

(四) 市町村長の同意が行われた場合は、速やかにその旨を病院に連絡すること。このため、口頭で病院に連絡することが可能であるが、口頭で連絡した場合においても、その後速やかに同意書(様式三)を作成して病院に交付すること。この場合、同意書の日付は口頭で連絡を行った日とすること。

(五) 休日夜間等において市町村長の入院の同意の依頼を受けた場合においても、速やかに同意が行われるようにすること。

このため、休日夜間等においても迅速に対応できる体制を整えておくとともに、休日夜間等の緊急の場合の連絡方法については近くの病院にあらかじめ連絡しておくこと。

なお、聴取票の作成及び前記(二)の手続きをとることができなかった場合においては、その後速やかに手続きをとること。

五 同意後の事務

(一) 入院中の面会等
入院の同意後、市町村の担当者は、速やかに本人に面会し、その状態を把握するとともに市町村長が保護者になっていること及び市町村の担当者への連絡先、連絡方法を本人に伝えること。なお、同意後も面会等を行うなどにより、本人の状態、動向の把握等に努めること。

(注) 本人が遠隔地の病院に入院した場合には、市町村間で連絡を取ってその状態動向等の把握に努めること。

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