見出し画像

精神保健福祉法紹介 定期の報告等による審査

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

第三十八条は、最初の(相談、援助等)と最後の(仮退院)を除けば、精神保健福祉法に基づく入院が適切に行われているのか、都道府県が病院管理者の届け出を精神医療審査会で審査し、必要なら改善する仕組みについてのべている。


(相談、援助等)

第三十八条 精神科病院その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者は、当該施設において医療を受ける精神障害者の社会復帰の促進を図るため、当該施設の医師、看護師その他の医療従事者による有機的な連携の確保に配慮しつつ、その者の相談に応じ、必要に応じて一般相談支援事業を行う者と連携を図りながら、その者に必要な援助を行い、及びその家族等その他の関係者との連絡調整を行うように努めなければならない。


(定期の報告等)

第三十八条の二 措置入院者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者は、措置入院者の症状その他厚生労働省令で定める事項(以下この項において「報告事項」という。)を、厚生労働省令で定めるところにより、定期に、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に報告しなければならない。この場合においては、報告事項のうち厚生労働省令で定める事項については、指定医による診察の結果に基づくものでなければならない。

 前項の規定は、医療保護入院者を入院させている精神科病院の管理者について準用する。この場合において、同項中「措置入院者」とあるのは、「医療保護入院者」と読み替えるものとする。

 都道府県知事は、条例で定めるところにより、精神科病院の管理者(第三十八条の七第一項、第二項又は第四項の規定による命令を受けた者であつて、当該命令を受けた日から起算して厚生労働省令で定める期間を経過しないものその他これに準ずる者として厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、当該精神科病院に入院中の任意入院者(厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)の症状その他厚生労働省令で定める事項について報告を求めることができる。

参考:医療保護入院者の定期病状報告書

参考:措置入院者の定期病状報告書


精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則

第十三条の四 法第三十三条第七項の厚生労働省令で定める事項は、次の各号に掲げる届出の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。

 法第三十三条第一項又は第三項の規定による措置に係る届出
 精神科病院の名称及び所在地
 患者の住所、氏名、性別及び生年月日
 入院年月日
 病名
 法第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定した理由
 生活歴及び現病歴
 推定される入院期間(法第三十三条第一項又は第三項の規定による措置を採つた場合に限る。以下同じ。)
 診察した指定医の氏名
 法第三十四条第一項の規定による移送の有無
 入院について同意した家族等の住所、氏名、性別、生年月日及び患者との続柄
 法第三十三条の四の規定により選任された退院後生活環境相談員の氏名
 医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第一条の五に規定する入院診療計画書に記載する事項

 法第三十三条第一項又は第三項の規定による措置を採ろうとする場合において、同条第四項後段の規定による措置を採つた場合の届出
 診察した特定医師の氏名
 入院年月日及び時刻
 当該措置から十二時間以内に法第三十三条第一項又は第三項の規定による診察をした指定医の氏名及び診察した日時
 前号の診察の結果、法第三十三条第一項又は第三項の措置は必要ないと認めたときは、その理由
 第一号イ、ロ、ニからヘまで、ヌ及びヲに掲げる事項

第十九条 法第三十八条の二第一項前段の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 精神科病院の名称及び所在地
 患者の住所、氏名、性別及び生年月日
 入院年月日及び前回の法第三十八条の二第一項前段の規定による報告の年月日
 病名及び過去六月間(入院年月日から起算して六月を経過するまでの間は、過去三月間)の病状又は状態像の経過の概要
 処遇に関する事項
 生活歴及び現病歴
 過去六月間の法第四十条の規定による措置の状況
 今後の治療方針
 診察年月日及び診察した指定医の氏名

 法第三十八条の二第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 症状
 前項第四号、第六号及び第八号に掲げる事項

 法第三十八条の二第一項前段の規定による報告は、法第二十九条第一項の規定による措置が採られた日の属する月の翌月を初月とする同月以後の六月ごとの各月に行わなければならない。ただし、入院年月日から起算して六月を経過するまでの間は、三月ごとの各月に行わなければならない。

第二十条 法第三十八条の二第二項において準用する同条第一項前段の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 入院年月日及び前回の法第三十八条の二第二項において準用する同条第一項前段の規定による報告の年月日
 病名及び過去十二月間の病状又は状態像の経過の概要
 過去十二月間の外泊の状況
 法第二十条の規定による入院が行われる状態にないかどうかの検討
 退院に向けた取組の状況
 退院後生活環境相談員の氏名
 前条第一項第一号、第二号、第六号、第八号及び第九号に掲げる事項

 法第三十八条の二第二項において準用する同条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 症状
 前項第二号及び第四号並びに前条第一項第六号及び第八号に掲げる事項

 法第三十八条の二第二項において準用する同条第一項前段の規定による報告は、法第三十三条第一項又は第三項の規定による措置が採られた日の属する月の翌月を初月とする同月以後の十二月ごとの各月に行わなければならない。


(定期の報告等による審査)

第三十八条の三 都道府県知事は、前条第一項若しくは第二項の規定による報告又は第三十三条第七項の規定による届出(同条第一項又は第三項の規定による措置に係るものに限る。)があつたときは、当該報告又は届出に係る入院中の者の症状その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めなければならない。

 精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

 精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者に対して意見を求め、若しくはその者の同意を得て委員(指定医である者に限る。第三十八条の五第四項において同じ。)に診察させ、又はその者が入院している精神科病院の管理者その他関係者に対して報告若しくは意見を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

 都道府県知事は、第二項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対しその者を退院させることを命じなければならない。

 都道府県知事は、第一項に定めるもののほか、前条第三項の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る入院中の者の症状その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めることができる。

 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により都道府県知事が審査を求めた場合について準用する。

(退院等の請求)

第三十八条の四 精神科病院に入院中の者又はその家族等(その家族等がない場合又はその家族等の全員がその意思を表示することができない場合にあつては、その者の居住地を管轄する市町村長)は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該入院中の者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができる。

(退院等の請求による審査)

第三十八条の五 都道府県知事は、前条の規定による請求を受けたときは、当該請求の内容を精神医療審査会に通知し、当該請求に係る入院中の者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を求めなければならない。

 精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

 精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつては、当該審査に係る前条の規定による請求をした者及び当該審査に係る入院中の者が入院している精神科病院の管理者の意見を聴かなければならない。ただし、精神医療審査会がこれらの者の意見を聴く必要がないと特に認めたときは、この限りでない。

 精神医療審査会は、前項に定めるもののほか、第二項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者の同意を得て委員に診察させ、又はその者が入院している精神科病院の管理者その他関係者に対して報告を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

 都道府県知事は、第二項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は当該精神科病院の管理者に対しその者を退院させることを命じ若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じなければならない。

 都道府県知事は、前条の規定による請求をした者に対し、当該請求に係る精神医療審査会の審査の結果及びこれに基づき採つた措置を通知しなければならない。

(報告徴収等)

第三十八条の六 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者に対し、当該精神科病院に入院中の者の症状若しくは処遇に関し、報告を求め、若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、当該職員若しくはその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、これらの事項に関し、診療録その他の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させ、若しくは当該精神科病院に入院中の者その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、当該精神科病院に入院中の者を診察させることができる。

 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者、精神科病院に入院中の者又は第三十三条第一項、第三項若しくは第四項の規定による入院について同意をした者に対し、この法律による入院に必要な手続に関し、報告を求め、又は帳簿書類の提出若しくは提示を命じることができる。

 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、第一項の規定による立入検査、質問又は診察について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第三十八条の六第一項」と、「当該職員」とあるのは「当該職員及び指定医」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第三十八条の六第一項」と読み替えるものとする。

(改善命令等)

第三十八条の七 厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神科病院に入院中の者の処遇が第三十六条の規定に違反していると認めるとき又は第三十七条第一項の基準に適合していないと認めるときその他精神科病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神科病院の管理者に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、処遇を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその処遇の改善のために必要な措置を採ることを命ずることができる。

 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十一条第三項の規定により入院している者又は第三十三条第一項、第三項若しくは第四項若しくは第三十三条の七第一項若しくは第二項の規定により入院した者について、その指定する二人以上の指定医に診察させ、各指定医の診察の結果がその入院を継続する必要があることに一致しない場合又はこれらの者の入院がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反して行われた場合には、これらの者が入院している精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命ずることができる。

 都道府県知事は、前二項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた精神科病院の管理者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

 厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神科病院の管理者が第一項又は第二項の規定による命令に従わないときは、当該精神科病院の管理者に対し、期間を定めて第二十一条第一項、第三十三条第一項、第三項及び第四項並びに第三十三条の七第一項及び第二項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部又は一部を制限することを命ずることができる。

 都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。

(無断退去者に対する措置)

第三十九条 精神科病院の管理者は、入院中の者で自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのあるものが無断で退去しその行方が不明になつたときは、所轄の警察署長に次の事項を通知してその探索を求めなければならない。 退去者の住所、氏名、性別及び生年月日 退去の年月日及び時刻 症状の概要 退去者を発見するために参考となるべき人相、服装その他の事項 入院年月日 退去者の家族等又はこれに準ずる者の住所、氏名その他厚生労働省令で定める事項

 警察官は、前項の探索を求められた者を発見したときは、直ちに、その旨を当該精神科病院の管理者に通知しなければならない。この場合において、警察官は、当該精神科病院の管理者がその者を引き取るまでの間、二十四時間を限り、その者を、警察署、病院、救護施設等の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。


(仮退院)

第四十条 第二十九条第一項に規定する精神科病院又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者の症状に照らしその者を一時退院させて経過を見ることが適当であると認めるときは、都道府県知事の許可を得て、六月を超えない期間を限り仮に退院させることができる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?