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映画に学ぶ、人を驚かせるコンテンツ作りの考え方。

 皆さんは映画が好きですか? 私は5歳の頃に映画「マトリックス」を観てから大の映画好きとなりました。今回は私が好きな映画を題材に、「人を驚かせるコンテンツ作り」について考えていきたいと思います!

【1. 何故、コンテンツ作りに映画?】
 
人を驚かせるコンテンツを作るのに何故にそこで映画がでてくる?と思うかも知れません。しかし、映画はただの娯楽として関係のないものと切り離してしまうのは勿体無いです。私が思うに映画は人を楽しませる工夫が沢山詰まったアイデアのポートフォリオであるとも感じています。
 近頃のコンテンツ、(まあここではサービスやプロダクトも含めましょう。)では便利で信頼のあるモノで溢れています。ユーザー側としては沢山の選択肢から品質の良いモノを選ぶことができ、快適な生活を得られるようになったとよく聞きますよね?ですが、

便利なモノだけが本当に快適な生活を提供するのか?

私は便利なモノだけでは快適な暮らしを作り上げるには少々不十分だと感じています。便利なモノは今まで面倒だと思っていた作業を軽減してくれたり、貴重な時間を他の作業に集中できるように時短をしてくれますが、気持ちが良いと感じて、人間の心を豊かなものに変えるまでに至るコンテンツは未だに数多くはありません。
 最近感動したコンテンツに巡り合いましたか?私が感動したプロダクトは一番最近だとベタですがiPhoneです。ですがiPhoneも初めて世に出てから既にかなりの年月が経っています。感動させるようなコンテンツはそう簡単には出てきてませんね。便利な製品で溢れた現代では、人を感動させるようなコンテンツの登場が求められています。
 中々感動させられるようなコンテンツを考えることは難しいですが、既に人の心を動かす作品を生み出しているコンテンツから学べばいいのです。それが映画なのです。

【2. 映画の手法から学ぶ】
 
映画は本当に数えきれないほどの人の心を動かす手法を持っています。ここでは新たなコンテンツ作成のアイデアに使えそうな映画の手法を幾つか紹介したいと思います。

1. お約束を逆手に取ろう!
 王道ストーリーでお約束となっている「ヒロインは最後まで生き残る」や「大勢で移動すると最後には主人公しか残らない」を逆手にとり物語の序盤でヒロインになりそうな女性が死亡するなどの手法です。これは驚きますよね? 今まで当たり前だと勝手に思っていた事が覆されると平常心ではいられなくなり心が必然的に動いてしまいます。

映画の例としては"The Dark Knight"が挙げられます。

クリストファー・ノーラン監督の力作の一つとしてでも名高い2008年に公開された"The Dark Knight"。私のお気に入り作品でもあります。この映画のシーンの一部で主人公のBATMANが敵役JORKERに前作にも登場した元彼女と市民の希望の星である市長が人質に捕られ、どちらを助けるか選択を迫られます。観客としてはBATMANにヒロインを助けて欲しいと感じますよね?当然BATMANも元彼女を助けるために向かいました。しかし、BATMANが向かった先にいたのは元彼女ではなく、市長。市長を結果助けることになり、残念ながら元彼女は爆破に巻き込まれて死んでしまうのです。これはJORKERにまんまとやられた訳ですが、映画を見ていた観客もBATMANと同じくJORKERに騙されたのです。

このシーンには観客(ユーザー)を驚かせる工夫が沢山詰まっています。

選択肢を与えることで観客も考えることができ、BATMANの行動に感情移入しやすくなっている。
前作にもいたヒロインが死ぬ訳がないという先入観を覆され、観客は驚いてしまう。

第三者目線でストーリーを俯瞰していると、ストーリーが劇的に変化してもさほど心は動きません。ですが、選択肢を与えられ、自分ならどちらを助けるだろうか? と考えることでストーリーの主人公に感情移入することで一人称目線で見ることができます。そして、自分が物語に入ったところで信じていた基盤がひっくり返される。当然驚きますよね?実によくできた手法です。

これをコンテンツ作り的に落としてみると、

1. ユーザーに選択肢を与えて、コンテンツに参加させる。
2. そのコンテンツのテンプレートになるような概念を覆す。

ユーザーに選択肢を与えるとは、ユーザーが自分で考えてそのコンテンツを利用するということです。iPhoneを例にすればアプリでしょう。iPhone以前のガラケーには決まったカメラ、お天気情報、カレンダーなどのアプリケーションしか入っていませんでしたが、iPhoneではユーザーが自由にAppStoreから使いたいアプリをダウンロードして自分のスマホをカスタマイズすることができます。それに加え、アプリは誰でも作成することができます。iPhone、Appleのユーザーが自分好みにアプリを開発しクリエイターとして参加することができます。まさしくこれはコンテンツに参加していると言えるのではないでしょうか?
 そして、コンテンツのテンプレートになるような概念を覆すとは、常識に捉われないということです。電話機で写真を撮ったり、SNSで世界中の人々と繋がれるようになると誰が想像できたでしょうか?

このように単なる映画の手法でも何故、人を驚かせることができるのか?と考えてみるとiPhoneのようなイノベーションを引き起こしたプロダクトが人気になった理由と重なる部分が見えてきたりするのです!


2. 憧れの存在が身近に!
 
続いてご紹介する映画は王道、"STAR WARS THE LAST JEDI"です。

誰もが大好きなスターウォーズです。第1作が公開されてから40年以上もの間、長らく多くのファンに愛され続けている作品です。今回はその中でも8にあたるTHE LAST JEDIのシーンの一部を引用します。

主人公レイはなんにも無い星、ジャクーで両親もおらず、ただ1人で生活していました。そんな中7作目でハン・ソロや敵であるファースト・オーダーから逃れてきた兵士のフィンと共に銀河を駆け抜けます。その旅の道中、レイは自分に秘められたフォースの力に目覚め、フォースを操る最後のジェダイ、マスタールークの元へと向かい修行を始めました。その修行中レイは闇と向き合い自分の両親がどのような存在であったか気になるのですが、敵でありハン・ソロの息子でもあるカイロ・レンにレイの両親はレイを金のために売ったただのガラクタを売って生計を立てていた人間であったという衝撃の事実を聞かされたのです。自分の親は偉大なジェダイであったかもしれないという淡い希望が消え、自分の力で生きていこう決心するのです。そして、映画の最後はホウキを持った少年がフォースを使うシーンで終わります。

観客にはレイがあの遠い存在である偉大なジェダイの子孫であるという考えを持っていた者もいたそうですが、ここでその可能性が無くなったのです。

この作品では、ジェダイはヒーローのような存在ではなく誰しもが成りうるというメッセージが込められています。フォースを使い、ライトセーバーをブンブン振って敵を倒す存在が一気に身近な存在になるというのが重要なポイントです。

手の届かないと思った存在が手の届く範囲にあると感じたときに親近感が湧く。

これは当たり前のようですが、コンテンツをプロモーションする時には重要な点です。日本企業は品質の高い製品を作りますが、プロモーションが下手だと言われます。CMなどでハイスペックやら長持ちやらを宣伝されても、「ふーん」としか思いませんよね? しかし、またAppleの例になってしまいますが、AppleのCMは性能や機能を謳っていません。実際に人がiPhoneやMacを使っているシーンだけを綺麗に魅せているのです。つまり、iPhone高いし買うのは...と思っていても実際に手にするとこんな生活があなたを待っていますよと言われると具体的に自分が購入した後のビジョンが見えやすくなって購入までのハードルが下がるのです!

人気のあるものが身近に感じるときにハードルが下がる。そして身近に感じさせるには、そのシーンを具体的に見せる

これが重要なポイントです。映画では全て映像なのでイメージしやすいですよね。なのでより身近に感じて親近感が湧き、映画が終わった後でも頭の中にシーンが残ってしまうのでしょう。


【最後に】
 今回は二つほどの例を映画を通してご紹介しました。回りくどい言い方になってしまったかもしれませんが、要は

感動させるようなコンテンツを作るには、既に感動させることに成功しているものを観察して、何故感動するのか分析する

ということが伝えられば成功ですね。今後も映画は見ていくので、分析できる箇所があればまた投稿したいと思います!

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