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ドラマ「アンメット」第10話 感想

手を出してはいけない「ノーマンズランド」にある血管が事故で損傷し、狭くなっている。その為、血流が不足してしまっており、それが進めば脳梗塞になってしまう。
それが、ミヤビ先生(杉咲花さん)の記憶障害の本当の原因。手術を行うことが非常に難しい血管の細さ。手術を行うことは命の危険を伴う。


そんなタイミンで入院してきた、画家の柏木周作(加藤雅也さん)。脳腫瘍があり、別の病院で出来る治療を全て試したが、てんかんの発作が出て倒れてしまい、丘陵セントラル病院に搬送されたのだ。入院中、脳内で出血したことにより、感情の抑制が効かない場面が出てくる。潜在意識にあった、それまで表出することの無かった相反する感情を口にする。妻である芳美(赤間麻里子さん)は、戸惑う様子を見せるが、それを症状として理解している、と言う。
今までの長い治療の中で、芳美が受け入れてきたものがあるのだと思う。それは、諦めではないかもしれないが、それに似た感情や、葛藤。

「記憶障害が進み、意識は低下するけど、感情は最後まで残る。」と説明される。「心が覚えている」から、芳美の気配や声に気付くことで、目覚めたり、食事を口にする周作。次第に色んな感情が消えていくように見えるが、芳美に「モデルになって貰えませんか」と、高校生の時の、二人の出会いの言葉を繰り返す。周作にとっての記憶は芳美との出会い。芳美を描きたいと思った瞬間、その感情なのだろう。

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医師たちの食事の場面で、成増先生(野呂佳代さん)の過去が、不意に語られる。大切な人を以前に亡くした成増先生が、「それでも、ずっと居座っている気がする」「生きてる気がする」という。
脳の内側前頭前野では自分の大切な人や恋人を自分と同じように認識することもある、と説明する三瓶先生(若葉竜也さん)。
「それりゃあ、追い出せないわ」と笑う成増先生。

大切な人を失うという現実は、時に、感覚を伴わないで実感が得られないことがある。現実と感覚は同じではないのに、どちらも、ただそこにあるのだ。その違いに慣れていくのが、日常なのかもしれない。

自分が ”記憶を無くしていく” という現実を ”受け入れようとしている” ように見えるミヤビ先生。退院する柏木夫妻を見て「失われないものもある」と気づく。

手術が必要になる瞬間を見据えて血管の縫合を練習する三瓶先生。可能性を信じて練習していた大迫先生(井浦新さん)。どちらも医師としての矜持を感じる。ただ、その表現の仕方が違うだけで、ミヤビ先生という患者の為の行動なのだ。

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記憶をなくしていくかもしれない未来に向かっていく日常は、どう過ごせばいいのだろう。



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