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今ここを生きる - 泗水幼稚園

本年度から民営化され引き受けた泗水幼稚園、今度、新しい園舎を建設します。菊池市と合志市などの近隣市町村から子どもを受け入れてます。

建築家の西島さんから、どんな園にしたいか考えて欲しいと求められだいぶ時間が経ってしまい反省しつつ、約1年間、どんな園舎にするか想像を巡らし悶々と構想を考えていたのですが、ようやくイメージが膨らんできたので、文章にしてみることにしました。

園舎を建てるのは初めてのことで、手探り状態ですが、まず、言葉で情景を思い描いてみる作業をしてみました。みんなに世界観が伝わればよいなと思っています。

今ここを生きる

園を囲む水路には、田んぼに注がれる清らかな水が流れる
平地が続く田園は四季折々の表情を見せる
忘れられない故郷の風景

夏、農家が一生懸命育てる稲は
自然の猛威にも負けず穂を実らせ
力強く真っ直ぐたたずむ

秋、たわわに実った稲穂は
目のさめるような黄金色の絨毯と化し
今年もホクホクご飯を楽しむ食卓へ変わる

冬から春、大地はしっかりと力を蓄え
その年の夏と秋に向け準備する

何年もずっと続くこの故郷は
この先もずっと喜びの連鎖が続く
ここは、私達が守る心の支柱

登園、東に望む鞍岳が見守る
親子を出迎える心地よい朝日が顔を出す

遠くから「おはよう」の声
子どもは親の手を握り引っ張りやってくる

入り口には、色とりどりのお花や植物
訪れる人の笑顔を自然と誘う季節感
四季を通じ柔らかに差し込む日差し

子どもは手を離し、急いで靴を脱ぎ下駄箱にしまい
小走りで居場所へ向かう

子どもを微笑んで見送る親、登園の手続き、園を背にする

みんなと楽しく遊ぶ樹木の香りにやさしく包またれ空間
私の居場所、ワクワクが止まらない

中庭は、気候や季節がつくる空気に包まれ
耳を澄ます、中庭に遊びに来た小鳥の声
目を凝らす、次の季節へ移りゆく自然の姿
目を閉じる、肌と嗅覚で感じる心地よい空気
耳にはいる音、目に映る光景、感じる空気
感動の連続で心と身体が踊る

時には、部屋から飛び出し広場へ向う
体を思い思い動かす、活力を抑えきれない
躍動する生命が鮮明になる瞬間
子どもが去っても続くその余韻

気付けばいつも微笑みで答えてくれる
お昼ごはんの先生、いつもありがとう
みんなと頂き、美味しさが増す
最後まで残さず食べ、楽しくお片付け
お昼ごはんは、いつもいつも楽しみ

身も心も満たされ、思いっきり心おもむくまま遊ぶ
転んでも、ふざけても大丈夫
ここで、楽しく友達と沢山遊ぼう!

ある時、何?不思議なことが起きている
真剣な眼差し、時を忘れ五感が360度開放される

息を飲む、ドキドキする心臓
体中の血液が毛細血管まで行き渡る
今まで感じたことのない喜び
今日も、あっと言う間の一日

入り口で待つお迎えに来た親
靴を履き、駆け寄る子どもを抱き寄せ微笑む親
先生に「さようなら」の声
親の手を握り園を背にする親子
遠くから振り返る子ども「また明日」の声
待ちきれない明日がある

ここは、私の証
みんなと喜びを共にした日々
喜びは今も絶え間なく巡っている
また来ようと強く思う
卒園して大人になる子ども

子どもが生きる未来を常に案じ
ここで時間を共にすることを誇り
待ちきれない明日を喜び
門を閉め、今日も園を後にする大人たち

2020/5/10 清田史和

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