CTOの採用力を考えてみた

長らく、CTOとして仕事をしてきているが、採用が最も難易度の高い問題であると感じている。今回採用失敗かなと感じても、仕事を無理やりやめさせることはできない日本社会においては、採用側の組織や個人の経験として学習し失敗から学ぶことを大切にし、社員教育に励んだりする場合も想像できる。その他には、採用された人を問題視したりと、様々ケースが想定される。

最近、CTO候補を育てるという視点に立つことがあるので、この採用問題に対して、CTOって採用に対してどの程度の責任があるのか?ということを考えることがある。また、CTOに求められる採用力について考えることがあるので、主観的な経験ベースの話しになるが、文章化しておくことしにした。

組織的に技術で問題を解決していく集団づくりにおいて、技術者を採用しなければ組織は成り立たたず、CTOは必ず採用に携るし、もちろん責任は大きい。その際、採用のための組織デザイン力が必ず求められる。結論から言うと、採用には組織デザイン力が最低条件だと考えている。

良いデザインをするには、私の場合、まず、常に3つの個別の課題の理解に取り組んでいる。

1. 会社の経営課題の理解
2. プロダクトの開発課題の理解
3. キャリア形成課題の理解

つまり、組織・プロダクト・人の3つに個別の課題分類した上で、以下の順で行っている。

1. 課題理解のためのインプット行動(状況把握、聞く、調べる)
2. 課題の共通点を探る(分析、考える)
3. 組織デザインを考え提案(レビューを聞く、アウトプット)

技術部隊の成果に直結するプロダクトの開発課題が最も重要になるので、私が関わる会社のプロダクトの開発課題に対し組織デザインする場合、大抵の場合、リサーチ系開発、クリエティブ系開発、改善系開発、運用・監視系開発、と分類するようにしている。

リサーチ系開発は、今は答えがわからない問題で、より難易度の高い問題に取り組む部隊。基本、成果までのリードタイムは長く、探究心の強い研究者肌に向いている。真実や心理などのを追い求めるのが好きな人が向いているのかも。AI開発などデータサイエンティストなどはこの部門になる。

クリエティブ系開発は、プロダクトやサービスのメインの機能開発などを開発する部隊。利用者のニーズの理解力やUX/UIデザイン力やコミュニケーション力も問われ、より文系脳が必要な側面がある。新しい技術を好むイメージはある。客観的にわかりにくいスキルが求められるので、採用には一番慎重になる分野になる。

改善系開発は、リファクタリングなどプロダクトのクオリティや耐久性を向上させたり、開発スピードを早めるためのラブラリ開発など、目的がシンプルで明確な開発をする部隊。コードを読む力やプログラミング能力が高くライブラリなど汎用的な機能をつくるのが得意な人に向いている印象。また、KPIを設定することで、定量的な数値をみながらの開発になるケースがしばしばあるので、簡単に成果が確認できる分野になるので、そういうのが好きなエンジニアには向いている。

運用・監視系開発は、基本、セキュリティ対策やシステムが問題なく運用できているかなどインフラやセキュリティに関する知識が必要で、枯れた仕組みを使う傾向がある。また、全てを把握していることで安心するタイプが向いている気がする。最終的には、ネットワークやインフラに対し幅広い知識と経験が問われる分野になる。

合わせて、各分野ごとの社内のキャリアパスの設計に関しては、例えばを記しておくことにする。

リサーチ系 チーフデータサイエンティストが部門長
クリエティブ系 チーフエンジニアが部門長
改善系 チーフエンジニアが部門長
運用・監視系 チーフシステムアーキテクトが部門長

そして、それぞれの部門に共通して、プロダクトマネージャーやCTOやVPoEなどより経営よりのポジションが見えるとキャリアも考えた組織のデザインになると考えている。

採用活動を始める前に、どの開発分野を強化するか決める上で、会社の経営課題を理解し、採用基準を作成することになる。

余談にはなるが、概念的な話にはなるが、合わせてどの分野にも言えることとして、オーナーシップは重視し、すべて自分ごととして行動できるマインドと行動力と責任感は、採用時に重視すべきポイントにはしている。

採用活動に入る際は、媒体つかったり、イベントをしたり、リファラル採用したり、ヘッドハント会社を活用したりと様々な手段があるので、組織デザインの上で採用基準が分かれば、どんな人を採用すべきか明確になるので、それぞれの手段の特徴を理解し必要に応じて、組織的に活動したり個人的に活動したりすればよいと考えている。

まとめると、採用活動を円滑に運ぶようにするために、組織デザイン力で採用基準を作成することが具体的なアウトプットで、その根底にあるのは、組織デザイン力で、それが最も重要な力になるのではないかと考えている。

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