幼稚園と認定こども園のICT化記録
開園して約半世紀、独自の運営スタイルが定着していたほくぶ幼稚園のICT化を進めるまでの経緯を振り返りまとめました。私自身が、多分、IT業界ではガチ勢の一人なので、上流から下流までやってしまうのですが、これを他の園ができるかはわかりませんが、参考にしてもらえたらと思っています。
導入概要と目標
・会議運営の円滑化
・各職員にメールアドレスを配布
・承認ワークフローの整理
・園全体のネットワーク環境整備(WIFI化)
・各クラスにスマートフォンを導入
・保育の記録(動画、写真)共有
・写真などのメディア管理の効率化
・勤怠管理の電子化
・登降園管理のICカード化
・保育業務管理のシステム化
・保護者との連絡の効率化
などなど、ざっと箇条書きで連ねてみました。やることが結構あるなといった感じです。
「共有システムに慣れる」を数年
2015年にGoogleのG Suite for Educationを申し込み、各先生にメールアドレスを発行し、ドライブを使いドキュメントやスプレッドシートを使って、コメントで内容をやりとりしたりなどを体験し、最低限の機能を使い共有概念を体感しシステムに慣れることを目標に運用しました。
「機能に慣れる」を数年
会議議事録の管理や事務のドキュメントをGoogleDriveに完全移行しました。そして、会議をしながら議事録を同時に記録したり、事前に議事を共有してコメントをもらっておくなど、会議の進行をスムーズにできるまで実践運用を中心に、使ってみました。また、Google Formで保護者アンケートなどを実施して、便利さを実感し機能の扱いに慣れることを目指しました。
「時間の管理に慣れる」を数ヶ月
勤怠管理がタイムカードではなかったので、まず、タイムカードを導入し勤怠管理の見直しから開始しました。そして、勤務時間を見える化し、残業削減や有給の取得のための保育業務や行事の見直しを行いました。働く環境を見直し時間の管理に慣れ仕事に対する意識を変えることを目指しました。
数年かけて3つの慣れるを経て、今年、システム導入を一気に進めることにしました。導入時に先生たちに相談してみたのですが、意外と前向きに受け止めてもらえて、行けると確信しました。
利用機器・システム・サービス
◯Wifi環境
Google Wifiで構築(7台)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MAW2294
→園内でどこでもWIFIが使える
◯スマートフォン
huawei p30 lite (何かと問題のhuaweiだけど)(10台)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07R8GC16F
→各クラスに配布しているのでいつでも使える
使うアプリは、Google フォトとコドモンの保育管理アプリ
◯ノートPC
HP ENVY x360 15(AMD)(3台追加、合計6台)
https://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/envy_15_x360_ds0000/
→とりあえず各学年に一台準備
資料作成や議事録整理などに利用
◯タブレット
iPad(7台)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07PRX2Q11/
→登降園や勤怠管理に数台
◯勤怠管理
タブレットタイムレコーダー
https://www.tablet-time-recorder.net/
→Googleドライブ連動がありがたい
しばらく使ってみて、こどもん移行ありかも
→結局移行することにした
◯保育業務管理システム
こどもん
https://www.codmon.com/
→ICカードと登降園管理と基本機能を利用
機能が充実していて、色々と使えサポートも充実
◯リモート会議
zoom
https://zoom.us/ (セキュリティの問題気になる)
→複数園あるので、他園との会議をリモート会議対応
◯G Suite for Education
https://edu.google.com/intl/ja/products/gsuite-for-education/editions/
→とにかく使えるG Suite for Education
ドライブの容量無制限が嬉しい
カレンダー → スケジュール管理が圧倒的に楽
ドライブ → ナレッジ共有やフォームの管理が楽
メールグープ → 園内お知らせが楽
Googleフォト → 写真や動画の管理が圧倒的に楽
◯Office製品
→Microsoft 365
Office製品はクラウド管理
OneDriveなど色々とあるが一旦Googleドライブに落ち着く
定着に向けての課題
システムの導入をする場合、最終難関は定着かなと思っています。先生が数十名いる園だと、機器の管理など業務が増えます。全体的に先生のリテラシーが上がる必要もあります。
現実は、リテラシーが高いとは言えません。では、どするか?が重要な課題になります。
まず、システムデザインがうまく行っている前提で、「先生の先生を育てる」です。システム部門など持てませんし、システム屋さんに高い費用を支払ってお願いすることも難しいです。ASPの安価サービスで、サポートがない中、手探り運用も私みたいな人がいないと実際は困難です。
結果、先生が何か1つ詳しくなり、先生が先生になる働きかけをすることが重要になってきます。
そのためには、必ず画像付きのマニュアルを作成するなど、丁寧な対応も重要になってきます。使っていて、楽しい、便利、役に立つなどポジティブな感覚をもってもらえるようにするか?を意識した内容で習ってもらうようにしています。
基本、ハンズオン形式で手ほどきすると効果がありました。先生の先生が活躍することで、色々な変化も同時に起こるかなとも思っています。
ICT化の次に期待すること
Googleフォトを使って日々の保育が画像や映像で記録され続け、先生たちっと手軽に気軽に保育を振り返り、メモが残せたりします。こどもの顔で写真をカテゴライズすることも容易になります。そのデータを解析し、いろんなことがやれたらと思っています。ここから先は、妄想の世界なので、割愛しますが。
まとめ
導入までには、数年かけて先生たちの様子や親の様子を観察し、システム導入の前にやるべき事をまず洗い出し、改善を進めました。
半世紀近く運営してきた園は、独自の習慣があり、導入にはより一層のケアーが必要になります。
最初に取り組んだのは、変化に慣れることでした。そして、職員が新しい仕組みに使われないで、使いこなしている感覚を覚えることでした。
慣れた結果、また、保護者のスマートフォン普及も後押しとなり、ICT導入が一気に進む機会が訪れることがわかりました。
IT業界のいろんな分野で仕事をしてきた経験から、どのような仕組みがほくぶ幼稚園にとってベストプラクティスになるかを考えた結果、今のようなカタチになりました。
運用してみて、改善できるところは今後もしていきたいと考えています。そそして、保育の仕事がもっと魅力的で、楽しい仕事になるような園にしていけたらと考えています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?