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往復820円の旅

これは逃避行ではなかった。
「往復820円の逃避行」なんてタイトル、めちゃくちゃ格好良くて、ともすればそう付けてしまいたいところだったのだけれど、これは「旅」だった。

何かから逃げるのではなく、肯定しに行くための旅だった。
こう言えるようになったのは、ちょっとした進歩だと思う。

「完全休養日」を意識的に作った日のお話。




東雲

年を重ねたせいか、6時くらいに目が覚めてしまう。
寝起きのスマホには東雲の写真が送られてきていた。

東雲。
「しののめ」と呼ぶことは中学の校歌で知っていたけれど、忘れてしまっていた。

知っているはずなのに忘れてしまっていることってある。

それは置いておいて、めちゃくちゃ良い感じの日の出の写真だった。
拡大してみたりして癒やされたから、そろそろ一日をはじめようと思う。






…あらら…


二度寝をしてしまった…。
心地良すぎる布団のせいにしたいところだけれど、これも自分で選んでしまった結果だ。
時間は8時をまわったところ。まぁそんなこともある…泣

9時から開くカフェに行きたい!と予定していたので、一息に用意を済ませて、11月1日にも着ていたお気に入りのふわもこ上着を羽織り、部屋を出る。


カフェ

カフェがあるのは河原町通。
バスのモチーフがおしゃれな「SCHOOL BUS COFFEE STOP KYOTO」。

来るのはまだ二回目だけど、すっかりファンになってしまった。
どこが好きかと言われると、例えば、アイスカフェラテのカップにメッセージを書いてくれているところとか。もちろん他にも好きなところはあるけど、そんな、ちょっと気分が上がるような心遣いが嬉しいお店。

あと少し、の思い出も

京都店が開店5周年を迎えたそうで、限定グッズが当たるガチャガチャを回してみた。狙っていたバッジとステッカーのセットが当たって、心が小躍りしていた。

完全休養日だったのに、うっかり作業をしてしまった。
BGMで流れる、好きな系統の洋楽に耳を貸しつつ、作業をしたり、まったり本を読んだりしていたらあっという間に一時間と少し経ってしまった。
5周年を祝いたいお客さんたちが店先に列を作っていたので、ごちそうさまをして次の目的地へ。


阪急電車

阪急電車は、京都民の力強い味方である。

金券屋さんで株主優待券を買うと430円くらいで神戸三宮駅まで行くことができる。おかげで帰省のときには片道1000円くらい節約しまくっている。

今日は、京都河原町駅から大阪梅田駅まで片道410円、往復820円の旅だ。
関係ないけど、「京都河原町駅」「大阪梅田駅」「神戸三宮駅」という駅名の付け方がなんか好き。
鉄道路線にはそんなに詳しくなくて、どこが好きとかはないけど、阪急になら好きという感情が生まれてしまっても良いかもな、とちょっと思っている。

好きな音楽をイヤホンに詰め込んで聞く選択肢①と、イヤホンを外して外部の音を聞く選択肢②の間で若干揺れ動いた結果、今日は②を選んだ。

先日大幸運のおかげでゲットできた斜線堂有紀さんの直筆サインが入った『本の背骨が最後に残る』を読む。『痛妃婚姻譚』を読んだけど、地獄のラブストーリーが、良い。

特急で45分。あっという間に着いた。


オムライス

大阪にある、10年以上愛してやまないオムライス。

基本的に何を食べてもおいしく感じられる幸せな舌を携えている自分だけれど、このオムライスは他のお店とは一線を画していて、本当にめちゃくちゃおいしい。

たまご丸」さんのオムライス。大盛り610円。
阪神百貨店地下1階スナックパークでいただける。

本当においしいものを前に太刀打ちできるほどの言葉はまだ持ち合わせていなくてとてももどかしいのだけれど、食べてみてほしい。


梅田新歩道橋

ストリートファニチャー(?)からの空

梅田では路上ライブしている人がたくさんいて、楽しい。
透き通った綺麗な声で歌う人、力強い歌で通行人にエネルギーをばらまく人、誰よりも楽しそうに歌い、笑顔を届ける人。

YouTubeでたまたま流れてきて良いな、と思っていた歌手の方が14時から路上ライブをするそうで、聞きに行った。

梅田新歩道橋の上で歌う彼女は、囲む半円それぞれに目線を向けていて、皆を笑顔にしていた。素敵なエネルギーが生まれる場所だった。


モンブランのせ

なんという魅惑的な言葉。「モンブランのせ」。
今年の秋はミスタードーナツを中心に、甘味三昧の日々を過ごしているのだけれど、モンブランはまだ食べていなかった。

時刻は15時半、ちょうど良いおやつどき。
これはもう、モンブランのあるお店にお邪魔するしかありません。

Instagramで「モンブラン 梅田」と調べると、プリンの上にモンブランが乗った素敵そうなお店が…!

少し歩く。

大人気のお店だそうで、前には5組ほど立っていたけれど自分も待ってみる。

素敵な外観。

カウンターに座り、クラシックプリンのモンブランのせとホットカフェラテを注文。

苦めのカラメルソースがかかったしっかりプリン(好き)に、モンブランが乗っかっている。これだけでもう美味しい。
さらに、モンブランのなかにはアイスが隠れていて、ひんやりしたバニラが全体の味を引き締めていて、幸せで口が満たされる。

この上なき僥倖。

隣から聞こえてくる耳を塞ぎたくなる話には、関ジャニ∞アプリのLIVE映像を流して対抗しつつ、少し本も読んだ。

昼下がりの素敵な時間を過ごすことができた。
店内も落ち着いた雰囲気で、おすすめのお店。


初冬の御堂筋

すっかり日は落ちて、あたりはイルミネーションに照らされる。

夜景を撮るのに失敗しがちだったのだけれど、カメラのことを少し学んで、夜撮影用の設定を知った。

どこを見ても二人組ばっかりだった。


晩御飯迷宮

優柔不断だ。

晩御飯ひとつ選ぶのにも、ありったけの選択肢を踏まえた上で(それにも時間がかかる)、その中から本格的に悩み出すものだから一苦労する(幸せな一苦労だ!)。


探し迷い歩く。
途中かかってきた電話に出ようにも、地下なので通じなかったりしつつ、今回の判断軸は「お腹いっぱい食べられる」かつ「野菜を食べられる」かつ「待ち人数が少ない」の3つに置いて悩んだ。

選んだのは、定食屋さん。
主催が魅力的で、野菜の小鉢が載っていて、ごはん・お味噌汁おかわり自由だということで選んだ。

サーモンアボカド丼もついていた…!

美味しい。
ごはん大盛り3杯、お味噌汁2杯おかわりした。

満たされた。


阪急電車

阪急電車に乗って帰る。

少しの疲労感と、圧倒的な満足感を持ち、ボックスシートで揺られ、45分で京都。

往復820円の旅をした完全休養日、とても良かった。
意識的に作業はしない、と決めていても、少ししてしまうこともあったけれど、「しないはずなのにするなんて頑張ってる!」と思えた。

頑張りたいのに頑張れない期間を過ごしたこともあって、その時期の自分はこうは言えなかったけれど、今の自分はちょっとだけ肯定できるかもしれない。

14年来の課題から、一歩進んだ気がした日だった。
これからも「完全休養日」を作っていきたい。

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