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保育園立ち上げ日記 |#1| 開園3ヶ月のマネジメントとしての施策

5月に下書きしたのだけれど気付いたらそれから半年経っていました。今日、11月11日時点での記憶も書き足しています。

昨年から準備してきたサービスを4月に開始して30日以上が経ちました。体力上もメンタル上も 大変なのは想定はしていたけれど やはりハードです。ただ これを乗り越えられたら大きな力になるし 何より事業を成功させるために乗り切りたい。

そんないまの経験は価値あるものだと思うので、この1カ月半の改善への取り組みを記録。現時点で良かったこと、成果が出なかったこと、未だ結論付けられないもの。

1:システムの点から

15分オペレーションの作成
4月末から、全スタッフ15名のオペレーションを15分刻みで作成しました。
毎日のシフトに沿って、スケジュールを可視化する作業。
目的:クラス内での役割分担の明確化。休憩時間の確保。
結果:上記の目的は達成できた。
かなり時間と労力を要するシステムでしたが、
各クラスとスタッフの動きを把握して
オペレーションの改善を行っていくのに
必要な作業でした。
ミーティングログのオープン化
保育というサービスの性質上、全員が一時に集まってミーティングをすることができず、各セクションに分かれてどうにか時間を見つけて打ち合わせしていたのですが、

「どんな議論がされているのか分からない」「誰から聞くかによって決定事項が異なる」などの声が発生して、ログをGoogle Documentでとってオープンするようにしました。

ログの共有、サークルでも1年生の初期に、かなり細かく教えてもらっていたはずなのに...そんなことさえ忘れてしまう程、毎日追われていたみたい。

それ以降、ログを取って共有する文化が(まだ抜けちゃうことはあるけれど)浸透して実現されてきてるなと感じます。

ちなみに、以下の記事で尊敬する起業家・佐藤さんが「社員のリソースの公平性を保つために」「議事録をすべて残して誰かれでもアクセスできようようにしておく」と話されていた(画像クリックで記事に跳べます)

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組織図の修正
5月に組織図を作り直しました。サービス開始前の段階でも作成していたのですが、実際に1ヶ月間回した中で、セクションに分けてリーダーを設置することが必要と感じたこと、どの業務が誰の意思決定下にあるかを明確にする必要があったこと、2点の理由からでした。

目的:リーダーの新規設置。Job Descriptionすること。

結果、これは必須でした。15名の小さな組織だから、特にセクションのリーダーは要らないかな、と当初は思っていたのですが。必要だった。

またこれによって、
1)園内の情報共有、課題解決のフローが整理された。
2)マネジメント層のキャパオーバーが軽減された。

のメリットもありました。

よく "日本の企業はJob Descriptionがされていない" と言われると聞きますが、仕事内容と権限をきちんと明文化すること、とても大事だと認識しました。

尚、この時に大事だったのが、「この人が何を担当するか」と同時に「何を担当しなくていいか」もきちんと明確にしておくこと。
契約内容を同意する
スタッフを雇用する立場になってつよく実感しているのは "契約書はとても大切" ということでした。
わたし自身は、結構、仕事とプライベートの境目がないタイプで、勤務契約が適当です。
自分がやりたいことが業務としてできればよいので、入社前に確認したかったのは給与くらいで、あとはあまり興味がないひとでした。

ただ、雇用契約を結んでいく中で、契約内容を詳細に気にかける方は多いし、実際に運営にあたっても契約書をしっかりきちんと作成して、お互いに同意した状態にしておくことは大切だと、認識しました。

やはり自分が興味がない分野は、どうしてもテキトーにしてしまったり、違いを認識できていなかったりすることが多くて。

特に、詰めて同意しておくべきと感じた項目を、以下に記録しておきます。
・契約期間
・給与の支払日
・担当業務内容
・みなし残業の時間数
・残業時間の区切り方(1分単位, 15分単位, など)
・勤務日と勤務時間(特にシフト性の現場なので)
・時間固定など勤務形態に関する特殊な希望があり、それを雇い主が了承している場合は、その条件(他のスタッフが納得できるよう)


3:マネジメントの点から(物理的対応)

スタッフ全員の15分個人面談
高速で過ぎ去った4月を終えて、5月のGW明けに全員と15分面談を行いました。
目的:メンタルケア、課題の吸い上げ
結果:1人15分ずつの予定ではありましたが、結果多くで延びました。不安や要望の声をたくさん聞いて、落ち込むことも多かったですが、経営側として見えていなかった課題も聞けてよかったです。同時にひとつ絶対的に学んだのは、誰かの〇〇さんがこう言っていた、の声は本人から直接聞くまでは杞憂したり信じたりしないこと。特にお互いを知り合って間も無く、お互いに余裕がない環境では、本人の意図とは全く異なる捉えられ方をしている可能性が高い。
1ヶ月おつかれさま飲み会
4月の終わり、連休前に、全員で飲み会をしました。組織としてひとつになることに向けて。工事費支払い後でキャッシュ余裕がない時だったけれど、代金は会社で持ちました。効果がどれくらいあったかは分からないけれど、代表たちにも来てもらって、上の人たちと直接コミュニケーション取れる場にできたのはよかったかなと思います。
現場に入る
マネジメントの点で意図的に入ったというよりも、必然的に現場に入って助けざるを得なかった、というのが本当のところだったのですが
1)現場の先生たちと関係を築く
2)サービスの課題を自分の目で見つける, 判断する
以上2つの点で、特に収穫が大きかった時間でした。
子どもたちと接する機会だったのも、作業などに忙殺される毎日の中で、サービスの提供先でありモチベーションの源である彼らとの時間があったことで「なんのために自分は仕事をしているのか」を忘れずにいられることができました。
スタッフの話は 全部 聞く(不満の受け皿になる)
園内にいると、スタッフたちからいろいろな話を聞きます。特に4-5月の間は、現状に対する不安や不満などやはりマイナスのものが多く(これはスタッフの問題ではなく新サービスの開始という条件下で、私たちがもっと準備できておれば軽減できた部分もあることは承知しつつ、ある程度避けられないことと結果的にも感じています)園内にいれば随時 声が届きましたし、GWには急遽出ていって2時間くらい話を聞いたり、平日の深夜に電話がかかってきたり。
作業が中断される上に、自分が傷付いてしまうこともあり、スタッフの話を聞くというのはつらさも伴うことではありました。
ただ、わたしなりに出来るだけ真摯に耳を傾けて、聞いてきたつもりでした。
明確にメリットがあった訳ではないけれど、「話したら聞いてくれる人がいる」という状態を維持することは、スタッフの踏ん張りを支えるという点で有効だったと主観的には感じています。

2:マネジメントの点から(心がけ)

「リーダーがいちばん頑張る」
4月から5月にかけては、とにかくわたしができる精一杯を働きました。
スタッフのみんなが現場でいっぱいいっぱいに仕事してくれている中で、わたしもがむしゃらに頑張るしかできなかった。
夜は寝る直前まで作業して、朝は起きてベッドから出ていちばんにすることはパソコンの起動。睡眠時間をできるだけ削って、昼間は休憩とらず(気付いたらお手洗いにもいかず9時間経っていたことも)

心に留めていたのは、尊敬するコピーライターの牧野さん(@MAKINO1121)がツイッターや記事で話されていたこと。リーダーがいちばん頑張る。リーダーがいちばん結果を出す。

ただ、これは、わたしのスーパーサイヤ人モード。短期間限定と決めていたからできたことでした。中長期的には、時間に比例させず、結果を出す質の高い仕事をできるようにならなければと思っています。
バーンアウトだけは十分気を付ける
一方で、バーンアウトだけはしないよう、留意しました。
これは、5月の上旬、本当に忙殺されてしまっていたわたしともう一人の担当者(2人が取締役で対等なポジション)とのミーティングに、代表がわざわざ現地まで来て、くれたアドバイスでした。
なので、「本当にこれ以上は無理だ」となった時は、休むことをしました。

このとき、現場のマネジメントを、イーブンな関係の2人体制で行っていることをとても感謝しました。ひとりが休んでも、もうひとりがカバーすることができたから。

2人体制というのは、一定意思決定が遅れることにはなるのですが、新規事業という環境の中で
1)順番に休憩をとることができる
というのは確実に大きなメリットで、同時に
2)視野の拡大と会話の積み重ねが、意思決定の粒度のアップに寄与する
3)お互いにストレスの相談先がいる

の2点でも、プラスが大きい体制と感じています(もちろんそれができるのは、私たちが合弁会社で、それぞれの親企業が利益を得るまで時間がかかるリスクをとって給与払ってくれているという事実のおかげで、一般的なベンチャーではなかなか実現難しいと存じつつ)
わたしの 1/15 は相手の1/1
ある時、ひとりのスタッフからSlackが飛んできました。
"本件、どうなっていますでしょうか?1週間前にお願いしたはずなんですけれど、その後ご連絡が何もないので"

正直に言うと、この件、確かに連絡来ていたのは記憶にあったのですが、すっかり対応できずにいられたのでした。

マネジメントの立場に立つと、現場の各セクションから本当に日々、たくさんの声が届きました。
同時に、現場以外にも運営していくにあたって対応しなければいけないこと進めなければいけないことが多くありました。
そんな中、時間が有限な以上、すべての連絡や課題の対応を、全体での優先順位を付けなければいけなかった。

ただ、この時にしかりと学んだのは、マネジメント側のわたしにとってはスタッフ15人から受ける連絡の内の1つに過ぎなくても連絡をくれた相手にとっては1分の1で、それへの応答がなければ「自分は無視されている」と感じてしまうしモチベーションが低下してしまうこと。

他にも同様のことを何回か起こしてしまって(不甲斐ない)「上が全然対応してくれない。」という声を幾度か受けました。

そしてこの問題については今のところ以下の対応策に落ち着いています。

1:連絡はすべて即レスする
2:5分以内に対応が完了するものは、作業を中断してでも取り組む(発注などの作業、外部への共有や、簡単な意思決定など)
3:5分以内に対応が完了できない見込みのものは
 ・期限のエクスペクテーションを明確に提案してすり合わせる
 ・Notionにメモする

現時点ではこれである程度上手く行っていると感じている。
腹を括る
従業員が辞めることを考えていると伝え聞いたり、保護者から転園を考えていると聞いてしまったりすることもありました。
もちろんその思いは受け止めたい。この場を選んだことを後悔されてしまうことはとても申し訳ないしそれを防ぐために現時点からのベストを尽くしたい。

ただそこで個人としてのメンタルを揺さぶられてしまうのは恐らくプラスにはならないと自分で腹を括ることが必要でした。

もちろんわたしたちのサービスの質が当初説明していたものに及んでいないことは承知してそこはひたすらに取り組みつつ、

期待されていた需要 と 供給したいサービス との間にも元々ズレがあった、という点も冷静に捉えて「合致しなかったら仕方がない」と手放す勇気。
餅は餅屋
4月当初あるミスが発覚しました。
開園前、キッチンの調理器具はキッチンスタッフの方たちに事前のチェックと協力をしてもらって準備していました。
その事前段階でわたしは「コンロはガス」とお伝えしてしまっていたのですが、実際はIHだったのです。
購入していたお鍋はすべてIH非対応で結局購入し直すことになってしまいました。

わたしはコンロのガス or IH が何に影響するかが視えておらず質問を受けたときに自分の曖昧な記憶で答えてしまった。

上記は極端な例ではありますがこれ以外にもいくつか現場の先生たちとのやり取りの中で失敗して気付いたのは、

わたしにとってはただの『ベリージャム』が栄養士にとっては『ブルーベリージャム』なのか『ストロベリージャム』なのかあるいは『リンゴンベリージャム』かで全く異なるものだということ。

わたしが『離乳食』というとき、保育士は離乳食の『中期』なのか『後期』なのかそれとも『完了期』なのかを知りたいということ。

専門家がそれぞれいる現場の中で、わたしは、それぞれの専門家と同じ解像度で仕事内容や単語を把握はできていない。正直には先ず何が把握できていないのかさえ分からないのだけれど。

わたしには視えていないことがある、という無知の知 を常に強く頭に留めておかなければいけない、というのはひとつの大きな学びです。

3:サービスの質の点から

複合機の購入
開園前、ファックス・連絡帳などペーパーがたくさん発生する保育園という業態の中でわたし達の園はできるだけペーパーレス化したいと強く思っていました。
そのためにスタッフ全員にもグーグルドライブやSlackをツールとして取り入れてコピー機複合機は設置していなかったのですが...5月に複合機を導入する決定をしました。

用途:教材の複製、クラス装飾のための印刷、給食関連の資料の印刷、保管文書のスキャン

結果として、11月時点で、複合機は絶対的に必要だったなと感じています。

それでもその後もシュレッダーは導入しない、断裁が必要な際はハサミで...と貫いてきたのですが9月にとうとう設置しました。個人情報を記載した書類が一定発生する保育園で、使用する機会は少ないものの自動で断裁の機会があることは精神的に事務員のストレスを軽減してくれました。
ちなみに、複合機はリースでRICOHから購入しましたが、シュレッダー・断裁機・スタッフ用冷蔵庫と電子レンジなどは全てメルカリから購入しました。安い。問題なく使えています。
ブラインドの設置
これはとても個別の事例になりますが...当初の施工で、工事費用を落としたかったこと、その時に設計者より「西日は入ってくると思うけれど窓の面積上カーテンなくても大丈夫だと思う」とお聞きしたことから、ブラインドは施工していませんでした。けれども、実際には4月末時点で、日中の陽により室内の温度が上がる状態に。これでは夏は越せない、と判断して追加の設置をしました。
費用は数十万円。
当初から設置していれば、もっと小さくなったし、保育園として3/4の工事費補助に含められたのに...と後悔の念に押されつつ、追加工事を意思決定しました。
この対応を(少し無理矢理)汎用的にするならば、サービスの質の向上のためには、自分の過去の意思決定を覆す判断も合理的にしなければならない、という思考でしょうか。
でも、これは早めに判断して設置してよかったと心から思います。夏になってからではとても間に合わなかった。
緑色のカーテンがきれいに太陽の光に透けてきれいなのもお気に入りです。
キッチンインスタグラムの始動
ランチとおやつを自園調理しているのですが、キッチンチームからの声をもらって、専用のインスタグラム アカウントを開始しました。
わたしたちの園には、栄養士がひとり、調理師がひとり、いるのですが、本当にいつも素晴らしくおいしいごはんを作って提供してくれるのです...!
保護者の方にも毎日写真をご提供できること、また、同時に今後のブランディングに役立てたいと思っています。
登降園記録用タブレットの移動
わたしたちの園では登降園の管理を全てアプリで行っていて、保護者の方にはタブレットでクリックして打刻してもらうシステムです。
そのタブレットを、当初エントランス近くのカウンターに置いていたのですがエントランス内にミニテーブルを設置してそこに置くことにしました。

目的:保護者の方が靴を脱がずにタブレットに手が届くようにするため

小さな改善ですが、毎日のことについては、小さなことにも常に取り組んでいきたいな、とこれを書きながら改めて思っています。
おもちゃには予算の糸目付けない
保育園として当たり前ではあるのですが...先程のブラインド設置の話と一緒になるけれど投資は大事。
おもちゃが少ない
= 子どもたちが自由遊びしにくい
= 先生たちが子どもたちの遊びに能動的に時間とエネルギーを消費する
= クラスの準備に避けるリソースが減る のわるい循環になってしまいそうでした。

もちろん適切な人員配置をして子どもたちに働きかけをすることは絶対であるしとても大事にしたい。
一方で子どもたちは自分たちの力で没頭して遊ぶ力を持っているしその力を発揮させてあげたい。
その点でおもちゃをたくさん用意することはすごい大事でした。
開園前に予算を十分に置いていなくて十分に準備できず。途中で増加させました。

どこに投資するかの判断、大事です。

以上が、開園から3ヶ月後までに取り組みなどでした。
読み直すと「成果がでなかった」という取り組みがないのは、実施したはずなのに結果が出なかったから記憶から飛んでしまったんだろうと思います。そこには更に大きな学びがあったはずなのに、失敗。
以降はちゃんとメモしていこうと思います。

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