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花の鎖 湊かなえ


今日は「花の鎖」の本について紹介しようと思います。

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『花の鎖』
文春文庫
2013.9.10    第1刷
2020.2.20 第22刷
著者:湊かなえ

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あらすじ

・花の話
今の私にはお金が必要だ。
祖母がガンになりお見舞いへ行くと、祖母からどうしても手に入れたいものがあると頼まれたのだ。「頼みます、梨花ちゃん。お願い」と力なく震える手で涙ながらにお願いされた。
祖母の手術代も、願いも叶えたいと考えた私。
こうなったら、毎年高価な花束をくれるKを頼るしかない。しかし、Kが何者でなぜ花束をくれるのかわからない。
私はKの正体を探るため動き出す。


・雪の話
私は夫の和弥さんと結婚した。彼はとても優しく男らしい人。慣れない土地に引っ越してきたばかりとはいえ、和弥さんと暮らす日々はとても幸せだった。そんな彼から「目標ができたんだ。今自分の持っているものすべてを賭けてもいいと思えるくらい大きな目標だ」と打ち明けてくれた。仕事のことはよく分からないけれど、彼を応援したい気持ちで私の力はみなぎるようだった。


・月の話
私は花の水彩画教室の講師をしている。ある日短大の友人だった希美子から手紙が届く。どうやら相談があるようだ。困ったときだけ泣きついてくるのは、あの頃のままだ。気乗りしないけれど、希美子に会うことにした。
「あの人を助けてほしいの」と希美子は言った。それは1番避けたい相談だった。やっぱり会うんじゃなかった。帰る!待って!離して!「本気で頼みたいのなら、その涙を母さんとわたしに返してから頼みなさいよ」
希美子が追いかけてくる気配はもうなかった。


花、雪、月の順番に話が進み、彼女達に起きた出来事が徐々に明らかになっていく。
読んだ後、ほっこりするミステリー本。

(ここから先は、ネタバレを含むので読み終えた方だけに見ていただきたいです。)

読もうと思ったきっかけは、イヤミス(読後嫌な気持ちになるミステリー)じゃない作品だと聞いたからです。
湊かなえさんの得意とするイヤミスも良いのですが、今回は違うタイプを見てみたかったのです。実際、聞いた通り、読んでほっこりする内容でした。
花、雪、月のそれぞれの女性の話が順番に描かれますが、その話の中で、!
「お!これは!?」
”りんどう”や”梅香堂のお菓子”、”香西路夫”、”さっちゃんファンクラブ”という共通する話題から途中で繋がりが予測でき、そこからもっと面白くなります。
後半から止められなくなってあっという間に読んでしまいました。
やはり、本のいいところはいろんな時代や時間軸を文章で自由に変えられるところだと思います。


「雪月花ー親と子の名前にこんな美しい繋がりを持つことができればどんなにすばらしいでしょう。」
辛い過去を持ちながらも繋がりを絶やさなかった親子3世代の過去が明らかになった時、心に入ってきたこの文章。
あぁまさにその通りだな。
すばらしい奇跡を身をもって証明している3人。
受け継がれた意思に感銘を受けました。


2回読んだのですが、
2回目は予め結末が分かっているため、彼女らの言動の背景がよく分かり、より一層楽しめました。
伏線は全て回収。
再読するとより楽しめる本なのでコスパはいいかもしれないです。

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