見出し画像

旅行会社の始め方・育て方

旅行業の研究をテーマに自身の経験を備忘録として、また、25年以上経営した証として過去のレビューも公開してまいります。

 初めまして、黒田勝也と申します。北海道在住/旅行業歴25年以上/旅行会社役員/日本大学卒です。現在旅行会社の経営に携わりながら地域観光資源・ツーリズム事業などの研究を行っています。

 2020年4月末日、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、平成4年に開業した取引先の旅行会社が廃業する。いま考えてみると旅行業の危機は過去にもあった。バブル期の終焉、そしてIT革命によるリアル店舗の淘汰、航空会社コミッションが5%から2.5%に減った時にも多くの旅行会社が廃業した。東日本大震災もまたしかり。
 筆者が旅行業に携わった90年代後半からは、航空券とホテルをセットにしたパッケージツアー所謂フリープランが台頭してきた時代であった。昭和の旅行といえば旗付き旅行(添乗員が旗をもって案内する団体旅行)が人気を博したが、その時代の旅行関係者は添乗員同行ツアーなんてなくなると馬鹿にしていたのを思い出す。確かに2009年には北海道で人気だったニューホリデーを展開していた普門エンタープライズが倒産した。あの時は衝撃的だった。

 筆者はそうした中でも、着地型観光や添乗員同行型ツアーはなくならないと確信し、旅行企画力を磨き続けていた。平成から令和に時代が流れるなか日本社会は高齢化が進み超高齢社会へと突入した。高齢者の余暇としてフリープランは好まれない。やはり旅程の安全管理ができる添乗員同行型のツアーのニーズは確実に高まりを見せている。そんな矢先のコロナショックである。終息に向けてひたすらツアー造成を行っている状態だが、高所得者向けの添乗員同行型エアープラン、安価な料金でも参加できるバスツアーや温泉旅行、余暇としての旅行はどのニーズにも応えられるよう品揃えするのが地域旅行会社の使命だと思う。

 大手旅行会社の地方支店は、修学旅行や企業や組織の団体旅行など高額な市場を狙い、エンドユーザーには冷たい商売をしている印象が以前からあったが、筆者は徹底してエンドユーザーを最重要顧客としてみてきた。団体旅行は普段からご利用いただいているお客様が紹介してくれると信じてきた。
 地域の旅行会社として地域に寄り添う態勢を保つことで、支援学校や養護学校、知的障がい者支援施設の旅行受注はほぼ100%となった。

 生き残れた大きな理由は、自分のためではなく地域貢献であると強い意志を持った結果であったと確信している。最初からそうであったわけでない、今まで出会ったたくさんに御取引先様から受けた影響は多大であった。旅行業を営む上で一番大切なのは、お客様だと思われるかもしれないが、本当はお客様にサービスを提供してくれる御取引先様なのではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?