地域おこし協力隊インタビュー vol.4
【岩見沢市】藤嶋 裕介さん
岩見沢市の協力隊となった経緯を教えてください。
私は岩見沢市出身で、幼少期から昆虫や植物、野生動物、自然に興味がありました。酪農学園大学では野生動物管理学を学び、どうしたら野生動物を適切な数にできるのか、ということを勉強していました。また、在学中に狩猟同好会を立ち上げ、岩見沢市で狩猟をしている原田さん(のちの師匠)と出会い、猟の方法を教えてもらっていました。そうした経験から、大学卒業後は地元で狩猟の仕事がしたいと思っていましたが、当時は岩見沢市で獣害対策人材を採用する予定がなかったため、インターンとして参加していた獣害対策コンサルティング会社の紹介で、新潟県粟島浦村で地域おこし協力隊として獣害対策の武者修行をすることとなりました。人口300人ほどの島では、自由なフィールドでシカの生態を研究しながら、島全体の生態系保全のため、3年間で約120頭のニホンジカを捕獲しました。任期終了後、大学在学中に知り合った岩見沢市役所の担当者から後継者として帰ってきてほしいと声をかけられ、地元に戻り、協力隊として活動することになりました。
現在の業務内容について教えてください。
農業被害対策の一環として岩見沢市の東部丘陵地域(毛陽町・朝日町等)で狩猟活動を行っています。基本的には鉄砲を使わず、足跡を追ってくくり罠を仕掛けることで狩猟をしています。農地の近くで鉄砲を使うと怖い思いをする方がいるかもしれないからです。あまり鉄砲を使わないのは、師匠の教えでもあります。
狩猟の様子は見学・体験もでき、札幌市などから野生動物に興味のある若者、親子連れや主婦の方まで幅広い層を受け入れています。最近は解体・加工した鹿肉を市内のホテルや飲食店で取り扱ってもらっています。
業務に取り組む中で、手応えを感じていること、やりがいを感じていることを教えてください。
今年は特に熊の被害が多かったため、熊対策に力を入れていましたが、その中で農家の方との交流が生まれ、地域に必要とされていると感じたときはやりがいを感じます。また、商品開発した「エゾシカジンギスカン」を地域の商店で販売しており、売れ行きの報告を受けて、地元の商品として認知されていると思うと嬉しいです。
農家の方との交流や地域のイベントなど、業務以外でもフットワークを軽く参加していくことも大切だと考えています。
今後、任期中や任期終了後にどのような活動をしていきたいか教えてください。
食肉の販売を始めたばかりなので、販路拡大をしていきたいです。狩猟については、技術をあげて、被害が拡大している熊対策について、安心して任せてもらえる人材になりたいです。
今後は、岩見沢市を拠点としつつ、他の自治体からも依頼されるような獣害対策を担う会社を作りたいです。捕獲の指導者として罠の技術を発信することで、鳥獣被害が減っていけばいいなと思います。
協力隊の活動を通して感じている岩見沢市の魅力を教えてください。
活動拠点である岩見沢市の東部丘陵地は、紅葉と夕日がとてもきれいです。市街からも車で20分ほどなので、気軽に遊びにきてもらえる場所として魅力を発信していきたいです。
毛陽町では、同じく市の協力隊員がカフェを経営しており、エゾシカ肉を使ったパイを提供しているので、ぜひ来ていただきたいです。
この記事は、「創る」第26号発行時点(令和5年12月時点)の内容です。