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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第26回 「副業の管理と調整」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第26回)をお届けいたします。
第26回のテーマは「副業の管理と調整」です。

先週に引き続き「副業」についてお伝えしていきます。
今回は副業を導入するにあたってより実務的なお話をしていきます。副業を取り入れるために、具体的にどういう段取りで何に注意をして導入していけばいいかをまとめています。

本記事で取り上げている要点に注意を払い、自社の副業導入のご参考にしていただけますと幸いです。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第26回「副業の管理と調整」

 副業者のスケジュール管理業務分担コミュニケーションの取り方など具体的な管理方法について説明します。まず、副業者のスケジュールは本業と副業両方のスケジュールを管理する必要があります。
 これは、副業者、副業を許可する事業所双方にとって大きな課題です。
 副業者が本業と副業のスケジュールを適切に管理できないと、両方の業務に支障をきたす可能性があります。そのため、副業を許可する事業所は副業者のスケジュール管理を支援することも求められるのです。

 業務分担について考えてみましょう。副業者が本業と副業両方を適切に分担できるように、業務の優先順位を明確にし、副業者が本業の業務に支障をきたさないように副業の業務量を適切に調整することも必要です。

 副業の導入には、事業者間の適切なコミュニケーションが必要となります。具体的には副業者が本業から副業の許可を得て、副業先で業務を開始するプロセスを明確にすることです。副業者は本業に副業の報告を行い、フィードバックを受け取ります。そのフィードバックは副業者によって副業先に反映され、業務指示の調整が行われます。

 副業者はその後、本業に対して副業報告を更新し、最終的なフィードバックを受け取ります。このように、副業導入にあたっては、本業、副業双方の事業者が具体的な状況に応じて適切なコミュニケーション方法を設計することが求められます。副業者が両方の事業所と適切にコミュニケーションを取れるよう、ルールと事業所への報告事項を明確に定めましょう。

 副業の導入には、次のような法的な観点からの配慮が必要です。
労働時間の管理=副業による過労を防ぐため、労働時間の管理が必要です。具体的には本業と副業事業者双方で従業員の労働時間を把握し、労働基準法に基づく労働時間の上限を超えないようにする必要があります。
業務の秘密保持=職員が副業を行うことで、業務の秘密が外部に漏れる可能性があります。そのため、秘密保持契約の締結や、情報管理の徹底が求められます。
競業避止義務の確認=労働契約に競業避止義務が含まれている場合、その範囲内で副業が許可されるかどうかを確認する必要があります。

 事業者は職員の副業を適切に管理し、そのメリットを最大限に引き出すための環境を整備することが求められます。副業者が本業と副業の事業所間で情報共有を円滑に行えるように、情報共有の仕組みを整備しましょう。

 社会保険について解説します。加入条件は週の所定労働時間がその事業所のフルタイム時間の4分の3以上になる場合です。労働時間を週40時間と想定した場合、副業先で週30時間働く場合は2カ所で社会保険が適応になります。
 とはいえ、週60時間以上働くのは安全衛生上容認しがたいです。労災の過重労働責任を各事業所で負うことになるので、安全配慮義務の不履行にならないように注意してください。

 万が一、副業者が労災事故で休業補償を受ける場合は、本業と副業両事業所の給料を合算して補償費を算出する仕組みです。雇用保険については本業のみでの加入となります。

 給料計算では所得税の設定も変わります。本業は甲(年末調整)、副業は乙(自分で確定申告必要)となりますので、設定を間違いないようにしましょう。住民税どちらかの事業所で特別徴収をするかの選択になります。

 介護保険事業所で勤務形態表に載る、常勤換算に該当する従業員必ず雇用契約が必要です。最近散見されるのですが、業務委託契約での登用絶対にしてはいけません。委託契約は労働契約ではないからです。
 もし、そのような取り扱いをしている場合は直ちに適切な対応にしてください。

介護新聞7/28付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202307kaigo/kaigo20230728.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第27回の記事でお会いしましょう!

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