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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第3回 「雇用定着の実践」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第3回)をお届けいたします。

第3回のテーマは「雇用定着の実践」です。

「人が足りない」という問題も、元を辿れば「辞めていく人がいるから」です。
終身雇用も既に一昔前の考えと捉えられつつあり、転職市場はますます拡大を続けています。
もちろん退職理由も様々ですから、一概に全てが悪いこととは言い切れませんが、例えば「入社してもすぐに退職する」とか「若手の流出が止まらない」といった場合は、会社側にも問題があるケースが多いです。

そういった事情から近年では「採用」の対策と同じぐらい「既存従業員の定着」も注目されてきています。
みなさんの会社では「雇用定着」のための具体的な対策をどれだけ行っていますか?

「雇用定着」の対策を行わず「採用」にだけ着目しても、せっかく苦労して採用した人材をみすみす逃すだけで「人の悩み」は解決しません。
ぜひこの記事を読んで、雇用定着の重要なポイントを知っていただければ幸いです。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる‼
連載第3回「雇用定着の実践」

 事業計画を推進する上で、スタッフの動き方、働き方へのアプローチは重要です。現場スタッフの入れ替えが激しい場合、その計画推進はうまく回りますか? 理念や技術は伝承されるものであり、雇用定着には欠かせません。雇用定着を前提にHR戦略を組み立てるのは言わずもがな。
 そこで、雇用定着=人材育成というポイントで戦略アプローチのヒントをお伝えいたします。
 
 働きやすさと働きがいの高低を組み合わせて、①人材流出企業(働きやすさ低、働きがい低)②人材滞留企業(同高、同低) ③人材輩出企業(同低、同高)④人材育成企業(同高、同高)―に分類します。(図1参照)
 
 沖縄県にある159社を対象に調査した結果では①が4割強を占めていました。働きやすい職場環境が整っておらず、職員は成長や働きがいを感じないことから、「隙(すき)あらば、転職したい」と考えているため人材を流出させる企業です。単に雇用されて仕事をやらされているだけ。
 
 ②は全体の33.3%。働きやすいだけで、働きがいはあまり感じていない。自身の成長と関係なく働きやすい、あるいは他に選択肢がないというだけ。現状にとどまっている企業と考えられます。
 
 ③は全体の1.9%。働きがいを感じているものの、現在の事業所に長く留(とど)まることを考えていない職員が多く存在する企業。独立や自身の描くキャリアへのステップアップとして捉えており、職場に対する不満はないようです。職員は自身の成長によって外へ出ることを志向していると考えられています。場合によっては成長ノウハウが高く、代謝良く人材育成と世代交代を繰り返すので、十分あり得るモデルかなとも思います。
 
 ④は全体の20.8%です。単に働きやすいだけでなく、働きがいも感じられる。いわゆる職員が自分自身のさらなる成長を感じている企業。職員が他の人にも薦められるほど働きやすい職場環境が整っている企業。
私自身、介護事業所を運営する中、介護・福祉事業所については働きがいを高めていくことは比較的実現しやすく、一方働きやすさを高めていくことの難しさを感じています。
 
 ④を理想の職場とする事業所が多いと思います。この企業に所属する職員は▼1年前と比較して自分は成長したと思う(成長実感) ▼現在の会社で今後もさらに自分が成長すると思う(成長予感)―など、過去に対する自分と未来に対する自分の成長期待が、自身で評価できていることがポイントです。
 
 これは職員本人に任せるだけのものでなく、企業として職員に成長実感・予感を感じさせることができる運営をすればよい!と拡大解釈できます。そこには人間関係、コミュニケーション、承認、評価制度など、方法は1つではありません。
 
 例えば、入社の段階で自分がここに入れば成長できる予感を感じさせることも大切なポイントです。評価、育成、福利厚生、組織の風土開発などさまざまなポイントを改善することで職員の成長実感・予感を感じさせること。それが人材育成企業に向かう方法であることを示しています。
 
 働きやすさの追求のみではなく、働きがいを実現できる計画設計が求められます。企業すべてが全く同じ計画でうまくいくわけではありませんから、自社にあったステップで組み立てていきましょう。
 
 沖縄県の調査結果から「人材流出企業」の特徴からひもとけば、職員を思う組織作りが大事になります。職員はコマではありません。企業の目的を達成するため一緒に成長を実感し、これからの成長を期待できるメンバーです。そのメンバーは、事業所の目的達成のみで働いていますか?と問いかけてみてください。
 
 職員にとって働く理由はなんですか? 職員は誰のために働いているのですか? 職員は今の事業所で人生の見通しを持てますか?
 働きがい、働きやすさを目指した人事制度を構築・運営していきましょう!

介護新聞2/10付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202302kaigo/kaigo20230210.html
図1「雇用環境実態調査」(沖縄県商工労働部)より

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第4回の記事でお会いしましょう!

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