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3人のおじさんが作ったユニバーサルなカレー

それは、米屋の店先で見つけたかわいいパッケージのカレーでした。

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ふーん。こどもカレーなのかな。かわいくて喜びそう。
そのとき、個人的には興味はありませんでした。

そんなわたしの気持ちを見透かしたかのように、お米屋さんがいいました。
「これ、一回食べてごらん。すっごくおいしいから。」
すっごくおいしいのか!!それなら食べてみよう!!

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あらっ?なにこれ、ほんとに野菜がゴロゴロだ!口の中でほろりとほぐれる柔らかさ!それでいて、きのこなんてちゃんと食感がある。
おばあちゃんも食べられる!!!

北海道産野菜を使って、出汁は北海道産昆布なんですって!
(昆布だよ、おいしいはずよ。😎)

今をさること20年ほど前の平成14年に発売されたロングセラーは、
アレルギーのこどもが食べられる食品を作ろう!という3人のおじさんの気持ちから開発が始まりました。


除去食って言葉を知っていますか?
アレルギーの原因になる材料を「除去」した料理。色は同じであっても、味は食卓をいっしょに囲むみんなとは違います。
「除去食を食べるこどもたちに、誰よりもおいしいものを食べさせたいな。」
おじさんたちは一緒に考えました。

「こどもが好きな料理って何だろう。」

「ハンバーグだね、僕も好き~。」

「やっぱりスパゲッティでしょ。そうだ、カレーは間違いないね」

「給食の時にさ、みんなと食べてるときに、おいしくて隣の子が悔しがるようなカレーってどうだろう?」

「お、それいいね!家で家族みんなが一緒に同じものを食べて、おいしいねーって言えるカレーだね」

「スパイスも選んで使おう!」

そうだ。家族いっしょに食べられる、ほんとうのカレーを作ろう!!

3人寄れば文殊の知恵。スペシャリストのおじさんたちは勉強を重ね、お互いの専門分野を重ねながら開発に取り組みます。

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(文中の「おじさんたち」は、長谷川浩先生、山口廣治さん、徳永善也さんです)

化学調味や食品添加物は使いません。
スパイスは、アレルギー患者さんの聞き取りに基づいて決めました。

製造ラインも大変です。ラインの掃除には普通以上の時間がかかります。
だからロットも多くないと作ることができません。北海道のベル食品が製造しています。

「みんなのカレー」は17年間続いています。
大人たちの、こどもへの気持ちで続いています。


17年の中でおじさんたちは、当初思っていなかったことに気づきます。

糖尿病のひとや悪玉コレステロール値が高い人が食べられるカレーだということ。

赤ちゃんも食べられるカレーを作ったけれど、本当に、1歳の赤ちゃんが爆食いすること。170gで137キロカロリーなので、赤ちゃんでも吸収できるカロリーなのです。
お孫さんがばくばくと食べるのを見て、おじさんのひとり、徳永さんはびっくりしました。(本人談)
「ほんとにこんなに食うんだ!」(じっかーーーん!)
「うまいものは、こどもはわかる!」(じっかーーーーん!!)

昆布のうまみは、グルタミン酸です。合成されたうまみではないので、純粋なうまみだけでなく、自然からのニュアンスのある優しいうまみです。
母乳のおいしさはグルタミン酸なので、人間がみーんな好きな味なのです。
昆布出汁を飲んだ赤ちゃんはにっこり嬉しい顔をするのは、母乳の味を思い出すのでしょう。その記憶にアピールするカレーの味。わしわし食べる赤ちゃんの姿を見てみたいですね。

それから、動物性油脂を使っていないからムスリム対応ができること。

アレルギーのこどものために作ったカレーは、17年たったら、
世界中のみんなのためのカレーになっていたのです。



家族で食べるときに物足りない人がいたら、お肉の焼いたのを添えると、昆布のうまみを重なって、ぐぐぐぐぐぐーっとおいしくなるそうです。
ホットプレートで具を焼きながら、「みんなでカレー」もよさそうです。

やってみました。豚バラ肉のスライスを敢えて油を使わず、塩だけで焼いたものと、茹で卵。

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どちらもうまみの相乗効果が有効です。
これは、肉のソース、卵のソースにもなります。

最近、ユニバーサルデザインとか、マイノリティデザインということばを
ネットでもよく見るようになりました。

スープ作家の有賀薫さん

澤田智洋さんの著書「マイノリティデザイン」


誰かのために本気でデザインしたものが、
みんなのために普遍化していく。

わたしもそんなレシピを作ろうと、カレーを食べながら思いました。

「カラダにうれしいやさいカレー」を、販売している千野米穀店さんはこちらです。





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