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対談シリーズ① 「僕たちが団体として活動する意味は何か-これまでと、これから-」

こんにちは。北海道吃音・失語症ネットワークです。
このnoteでは吃音や失語症など、ことばに悩みを抱える当事者の方々にインタビューを行い、体験談や想いを発信しています。

今回は、当団体メンバー同士の相互インタビューです。
個々のメンバーがどのような経験を重ね、そこから得たものや見えてきた今後の展望について、対談形式で熱く語ってもらいました。


今回の対談メンバー

 当団体代表 三谷潤 × 副代表 内海浩平(言語聴覚士&吃音当事者)




これまでの活動を振り返って


三谷(以下M))当事者でもあり、ST(言語聴覚士)でもある内海(以下U)くんは、これまでの活動を通して、どういうことを感じて、どういった思いで活動しているんですか?

U)これまで活動をしてきて、多くの方と話をしたり、関われることが、すごい楽しいなーと思っています。どの方も、団体で活動をしていないと出会えなかった方々ばかりなので。

M)そうですね。

U)僕は、どちらかというと、STというよりも当事者に寄った気持ちで活動をしていると思います。なので、吃音の症状なんか関係なしに、いま自分が感じている「楽しいな~」
っていう思いを、出会った方々にも感じてもらいたいと思っているんです。

M)これまで僕たちは、イベントや企画に参加してくださった方々が「あ~、参加して良かったな~。また参加したいなー」と感じてもらえる時間になるように、ということを大事にして、いろいろなことにチャレンジをしてきましたよね。
楽しんでもらいたい!と感じてもらうために、どういう点が大事だと感じましたか?

U)どんなことでも同じだと思うのですが、相手に楽しんでもらうためであれば自分たちも楽しめることじゃないといけないよなーと思うんです。先日のイベントもそうですが、すごく皆が楽しめていましたよね!そうやって気持ちを共有できることが、まず大事なんじゃないかなーと考えています。

M)そうだね。僕もそう思います!

U)あとは、いろいろな角度からイベントを考えていけたらなーと思っています。交流会といっても、どうしても話すことに苦手意識を持っている方が多いので、思いっきり身体を使った運動の企画の方が、参加したい!と思ってもらえる方もいるかもしれないですしね。

M)その、いろいろな視点からっていうのは、楽しめる内容的な企画の面もそうだし、自分の吃音のことを知る機会としてっていう面でも考えられますね。

U)吃音のことを知りたい!という相談も多いですし、「自分のことが分からない」っていうのは、けっこう不安ですからね。自分のことを知るっていう意味でも、それから当事者の周りにいる方々にとっても、良い機会ですよね。

M)お子さんから成人まで、しかも家族や友達も含めて、皆で良い方向に向かいたいですね。

U)ただ、北海道はとても広いので、ネットワークを広げる難しさを感じます。ですが、出来るところから地道な活動を継続していくことが必要だと感じています。

M)そこが、団体としての次のチャレンジですね。


今後チャレンジしたいこと


M)次のチャレンジとして、どういう活動が出来れば良いでしょう?道内にも、いくつか当事者を応援している団体があるけど、当事者としては、「知っていても、行けない・行かない」ってことも多いものなんですかね?

U)知っていても行かない、っていう方は少なくないんじゃないですかね。例えば、遠方から札幌まで通うとなると大変ですし、学生さんや仕事をされている方々には大きな課題ですよね。あとは、全く知らない人が集まっているところに行くことについては、なかなか勇気がでないところかな~と思います。

M)その点は、札幌市外から相談を受ける場合に多い、現実的な課題ですね。
なかなか自分から行動を起こしにくい状況がある方々や、つながりたくてもつながりを作れなかった方々に向けて、どういうことが出来たら良いんでしょうね。

U)やっぱり、知っている人がいる団体さんのイベントだったら参加しやすいんじゃないでしょうか。

M)その人にとってのタイミングやきっかけもあるけどさ、参加してみよう・何か一歩、行動を起こしてみよう・これだったら大丈夫かも、って思ってもらえる企画を、これからも皆で考えていきたいですね!団体のイベント情報が、どこまで・どうやって知ってもらっているのかも分からないけど、絶対に地域にも困っている方がいるわけで、地域だからこその大変さがあるわけだから、こちらから各地域を動き回って、そこで皆が頑張る姿を見てもらって、自治体の方々にも応援してもらいたいなーと思っています。

U)まさにそうですね!

M)それぞれの方に、いろいろな悩みや、いろいろな考え方があるじゃないですか。学校生活とか就職面接、子育てに関する親御さんの思いとかね。
そういったところを「一緒に解決に向かえるように行動する」ことも、ひとつひとつ取り組んできましたよね。

U)「一緒に行動する」活動っていうところが、うちの団体の大きな特徴の1つですよね!ただ、僕は…うまくいったことよりも、もう少し、どうにかできなかったかなって反省することの方が多いんですよね。
就活に困っている方と一緒に頑張っているんですけど、何十件も結果が出なくて。本人ともたくさん話して、多くの方の話も一緒に聞いて、本人は頑張っているんですが、今もまだ…なかなか。採用する企業側の率直な意見にも触れることで、いろいろ考えさせてもらいました。選択肢が広げられるように、それから、吃音がある・ないに関わらず「やりたい仕事」につけるように、就活の面で力になりたいなーと思うんです。

M)相手にも、いろいろな考え方があって当然。その人が「これで良かったんだ」って思えるのがいつなのかっていうのも、誰にも分からないですしね。
就活っていうのは、多くの方々がぶつかることだと思うし、法律も少しずつ変わってきているとは言え、現実的に実際の生活の中で社会の変化をリアルに実感できるようになるには、まだまだ時間もかかることだですよね。
難しい課題がたくさんある中で、「自分たちは、どういう社会にしていきたいのか」って考えることが大事だと思うし、道内の団体が皆で協力して何かできることを考えて、新しい考え方とか、時代を創っていくには、今・目の前のことから行動を起こし続けることしかできないですもんね。

U)そうですよね。もちろん、本人も頑張らないとならないけど、本人だけが頑張らざるを得ない現状がありますから、自分たちが団体としてアクションを起こすことで、「自分もアクションを起こそう!」って思える人が1人でも増えて、それがどんどん繋がっていけば嬉しいし、大きな意味があることですよね!

M)1つの団体とか、1人の力ではどうにもできないこともたくさんあるかもしれないけど、そういった1歩1歩によって、10年先・20年先の生活が全然違うんだと思うんですよね。団体の存在意義も、活動の意味も、そこにあるよね。だからこそ団体のメンバーには、自分が経験してきたことから行動を起こし続けることはもちろん、出会った方々からたくさんのことを学んで、うまくいかなかったことを徹底的に反省して、そこからまた一歩踏み出す行動を起こしていってほしいって思っています。そこは、やっぱり人と出会わなければ分からないことだしさ、その悔しい思いの積み重ねを大事にしていきたいですね。

U)そうですね。目の前の1人と一緒に悩んで、一緒に考えて、一緒に行動する時間を作っていきたいです!

M)団体メンバーのひとりひとりも、自分自身の課題にチャレンジを続けていますもんね。その上で、相談してくださった方々の悩みや課題が、一歩ずつ良い形になるまで頑張っていきましょう!皆、それぞれにしかできないことがあるから。これからも、団体を引っ張っていってください!

U)頑張ります!(笑)


今、団体に必要なこと


M)着実に前に進んでいることもあれば、まだまだ足りないなーと思うこともあると思いますが、今、当事者のための活動をするために、団体に必要なことは何だと思いますか?

U)僕は、うちの団体の「その人と一緒に歩んでいく」という応援の仕方が大切だと思っているんです。「支援する側」と「支援される側」という考え方ではない、というところですね。この点はこれからも、団体全体として、もっともっと皆で大事にしていきたいなーと思います。

M)応援の仕方って、いろんな形がありますよね。当然、相手によっても、状況によっても。グイっと引っ張っていくときもあれば、グッと支えるようなときもあるし、違う視点や角度から視野を広げることが必要だと思えるときもあるし。
結局、何かを決めるのは本人だし、本人が動かなければならないことが多い。

U)時間的にも、金銭的にも、いろんな面で、自分たちにできることは限られていますけど、皆で考えていける機会や、その人と一緒に考える時間を、もっと増やしていきたいです。

M)団体の存在が、家族や友達以外に、そうやって「いつでも応援してくれる人がいる・気にしてくれる人がいる、何かあったときに話を聞いてくれる人がいる」っていう場所であってほしいなーと願っています!

U)誰かのためになるには、団体メンバーも、それぞれの人間力を磨き続けなければならないですよね。それは、これからもずっと続くことだとは思いますが、今後もひとつずつ、相談をしてくださった方々に対して、団体メンバー全員が、積極的に関わっていける団体を創っていきたいですね。

M)団体としても、いろんな経験を重ねていくことは必要だから、相談してくださった方々のことや、いま一緒に頑張ろうとしていることなんかも含めて、その一人のことを団体のメンバーで話し合っていく時間は大切ですよね。
皆が自分の体験を話すことも大きな一歩だけど、そこから次は、相談してくださった方々の目の前の一歩とか、新しい気づきとか、そういうことにつなげられる一人ひとりになっていってほしいと思っています。

U)それが、「相談して良かったな」「次もイベントに参加して良かったな」っていう思いにつながりますもんね!
目の前の一人が毎日感じる「大変さ」に対して、本当の意味で力になれる団体を、皆で創っていきましょう!


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