舅が好きな海老せん
宮崎生まれの私は縁あって関西に嫁ぎました。
舅は物静かな無口な人で、なかなか打ち解けることができませんでした。
そんな折、何気なく名古屋在住の姉から貰った菓子折りを持参しました。
それが坂角総本舗の「ゆかり」でした。
舅は一目見るなり、急いで包みを開け、喜色満面で口にしました。
普段の様子とあまりに違うのでびっくりしていると、急に饒舌に語り出しました。
それによると、生家の近所に「坂角」のお店があり、よく食べていたそうです。
「私はバンカクの海老せんで育った」と言って、うれしそうに何枚も食べていました。
このことがきっかけで、舅と冗談も言い合える仲になりました。
「ゆかり」が舅との縁も紡いでくれました。
<了>