【裁判例】RKコンサルティング事件①事案の概要

東京地裁令和元年9月13日判決

保険外交員搾取被害弁護団事件において、被告会社とされていたうちの一社に対する事件の判決である。

同事件当初より、同社からもプレスリリースが出されていた。

事案の概要としては、

RKコンサルティングに勤務する募集人が、

・基 本:(地域別)基本保障
・歩合給:手数料収入 ✕ ?(計算方法不明)ー 基本保障相当額 ≧ 0
・所定外(時間外)手当
※給与体系の詳細は「RKコンサルティング事件②給与体系」参照

の合計(合計額が最賃以下なら最賃保証)を給料とするという条件で勤務していた。

これに対して、募集人が
「歩合給で基本保障相当額を控除するのが保険業法、労基法違反」と主張し、差額分の請求を求めて訴訟提起を行った事件である。
※争点と裁判所の判断の詳細は「RKコンサルティング事件③争点と裁判所の判断」参照

しかし、東京地裁は、本件の歩合給の計算は、あくまで歩合の計算方法にすぎず、労働時間に応じた最低賃金は保証されていること等から、労基法(及び保険業法)上の問題はないとされ、原告(募集人)側の主張を退けている。

なお、被害搾取弁護団事件は毎日新聞などを中心に様々外交員が搾取されていることについて報道され、弁護団もHPを作成していたが、2019年2月以降更新はされていない(2020年5月現在)。

旧来からの保険代理店業界における成果主義的賃金(報酬)制度からして、業界としての問題意識もそこまで大きなものではないように感じる。

保険外交員搾取被害弁護団事件の他の事件の経緯は把握していないが、単なる歩合給計算の計算式の問題を超えて、実際に従業員に経費負担をさせていたと言える場合や最低賃金以下の給与となっている場合などは、労基法上の問題が発生する余地はある。

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